ボブおじさん

オリーブの林をぬけてのボブおじさんのレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
3.6
〝映画の中で映画を撮る映画〟というのは、この映画以外にも沢山ある。だが、それらの映画は、映画の中の映画と映画の外の映画が明確に区分されている。

しかしこの映画は、映画の中の台詞と映画の外の台詞が渾然となり、見ている者に混乱をきたす。

映画内映画という入れ子細工のような構成のなかで、虚構と現実の境界線はどこまでも曖昧になっていく。

前作「そして人生はつづく」の1シーンに登場した、地震の数日後に結婚したという若夫婦。だが実際に夫役を演じた青年は、以前、妻役の女性にプロポーズし断られていた。

結婚を諦めきれない男と、決して彼の言葉に応えようとしない女性。果たして彼女の気持ちはどこにあるのか…? 

オリーブの林を抜けてその答えを追いかけに行くラストのロングショットは、美しい。

不思議な気持ちにさせられる映画だが、インパクトとしては、前2作と比べると些か劣る。ただ3作を順番に見ると、懐かし顔に再会できるという特典がつく😊