クリスティアナ・ブランドの「ふしぎなマチルダばあや」を原作とした「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」の続編となる2010年のイギリス・アメリカ・フランス合作映画
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前作のレビューでも同じようなことを書いたが、こういう映画こそ子どもに見せるべきだ。最近の魔法ファンタジーと言ったら「ハリー・ポッター」シリーズだろうけど、あれは復讐なんかも描かれていて、意外と大人向けの作品だ。でも、この作品にはそんなものはない。魔法を私利私欲に使うこともなければ、魔法で戦ったりもしない。魔法って素敵なものだと思わせてくれる作品だ。
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前作と全く同じ作りで、ナニーである魔法使いマクフィーが、5つの教訓を子どもたちに教えるという展開だ。児童文学らしい解りやすさと夢に溢れた世界観を映像で再現しているし、なんでこの映画が日本で広まらないかが不思議なくらいだ。アニメばかり見せていないで、こういう映画を見せてもらいたい。
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もちろんナニー・マクフィーを演じるのは、前作に続いて脚本も担当するエマ・トンプソン。女優としても脚本家としてもオスカーを受賞した稀有な女優であり、その才能はこの作品でも伝わってくる。主役はマクフィーだけど、あくまで主人公は子どもたちという構成なのも素敵だ。
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一家のママをマギー・ギレンホール。このママの優しさも感動する。そんなママの義理の兄をリス・エヴァンスがコミカルに演じている。グリーン家の長男を「ヒューゴの不思議な発明」などで注目を集める子役エイサ・バターフィールドが務める。
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「ハリー・ポッター」シリーズでマクゴナガル先生を演じたマギー・スミスやヴァルデモートを演じたレイフ・ファインズも脇役で登場している。(エマ・トンプソンもトレローニー先生を演じている)なぜかジェダイのユアン・マクレガーも出演していて、出演者の豪華さだけで楽しめる。
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家族で観る映画のお薦めを聞かれたら、迷わずこのシリーズを挙げるだろう。それぐらい素敵な作品だ。なんの悪意もない純粋なファンタジーほど、子どもに夢を与えるものはない。もちろん、汚れちまった大人でも、汚れを落とせちゃうぐらい素敵な魔法がここにある。