ひろ

蘇える金狼のひろのレビュー・感想・評価

蘇える金狼(1979年製作の映画)
3.8
大藪春彦の小説を原作とし、監督・村川透、主演・松田優作で製作された1979年の日本映画

日本のハードボイルド映画と言ったら松田優作の名前が最初に出てくるだろう。現在ではハードボイルドはVシネマというイメージで、主流ではなくなっているけど、この時代はハードボイルド映画の人気が高かった。現在のテレビに、“グルメ、動物、旅”といったキーワードがあるように、“バイオレンス、セックス”といったキーワードがあった時代だと思う。

松田優作という俳優には類似品がない。一般的には刑事や探偵を演じたドラマ作品が有名だけど、この人は悪を演じた方が面白い。ダークヒーローこそが松田優作を一番魅力的にする役柄だ。より大きな悪になるために悪を倒していくという展開は、まさにハードボイルド。ベッドシーンもアクションもこなし、ラストシーンでは名台詞もある。こんな俳優は他にいない。

松田優作とのベッドシーンを演じた風吹ジュンはセクシーの一言。千葉真一も小悪党として個性的な演技をしているし、和製ドラキュラと呼ばれた怪優・岸田森の怪演も見もの。この時代の監督は、日活ロマンポルノ上がりの監督が多いから、エロスを描くのは上手いね。

音楽とか演出で古臭さを感じてしまうけど、それは仕方がないことだと思う。ジブリの宮崎駿も言ってたけど、すごい昔のことは新鮮に感じるけど、少し昔のことは古臭く感じてしまうものだ。観る人の年齢によって感じ方が違うってことだ。それでも、松田優作の演技だけは時代を超越したものがあるから、誰が観たって問題ないはずだ。
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