このレビューはネタバレを含みます
地球外生命体のSFだが今までに無い感じで面白かった。ドキュメンタリー風の撮り方も新しい。
何らかのトラブルにより宇宙船が停止し地球で難民化したエイリアンの居住地第9地区。そこはギャングがエイリアンに不法な売買をしたり犯罪が蔓延るスラムと化していた。
エイリアンは一見すると猫缶に目が無くてエビ呼ばわりの低脳な種族に思えるが、唯一名前が出てきたクリストファーに至っては有能で子供を庇う良き父親像も見受けられる。もっとほかのエイリアンの知能性も描かれていれば更に良かったと思う。
主人公ヴィカスは液体を浴びたことでエイリアン化していくが、そこからの彼の人権はあったもんじゃない。
部隊の対応が酷すぎる。ヴィカスが普通じゃなくなったらもう格好の実験対象としか見てなくて、彼を救おうとかそうゆう人が1人もいなくてなんか悲しかった。
第9地区を移転する計画もエイリアンの卵を焼き払う対応も軍隊の対応は適当で酷いし、ヴィカスがエイリアン化したことで逆の立場になってからはエイリアンの心情をまざまざと考えさせられた。
ラストの終わり方もなかなか良かった。妻のものにアルミで使った花を贈る完全にエイリアン化したヴィカスの描写は物悲しくも様々な憶測を掻き立てられる。
クリストファーは本当に3年後に戻って彼を元に戻してくれるのか、そもそも彼は人間に戻れるのか、はたまた人間を恨み逆襲しに来るのか、それとも2度と地球に戻っては来ないのか…
ストーリー性も設定もユニークで個人的に非常に良作でした。