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舞妓と暗殺者のmingoのレビュー・感想・評価

舞妓と暗殺者(1963年製作の映画)
4.2
「ちがうちがうっそうじゃ、そうじゃな〜いっ」鈴木雅之ばりの津川雅彦の心の声が響き渡る大傑作。前年に「斬る」で名コンビぶりを発揮した三隅と新藤による恋と革命の狭間で揺れる幕末青春時代劇。百姓出の貧乏侍津川とその上司に当たる官僚侍山本耕一がそれはもうキュートな高田美和を取り合うわけだが、10両渡しておきましたって5両くすねたり山本のクズっぷりもしっかり苛立たせてくれるので「おれは豚だっ」と忍耐の津川の心の声がいっそう心に響くわけである。斬り合いもドリーで気合いがはいってて流石の三隅だし、雪がしんしんと降り落ちるシーンなんかはクレーン撮影のゆっくり上に上がる雪景色と2人の姿が画面に緊張感をうんでいる。血飛沫の生々しい効果音や巨大なセットなど見どころありまくりな上に最後の決闘ではついに南無三という場面で牙突ゼロ式並みの必殺技が!伏線小道具として活きる「夏蜜柑突き」の炸裂である。間髪入れず「勝った!勝った勝ったっ!」と喜ぶ高田。そして貞操観念=信念で魅せるラスト、はだける着物演出に「完」で爆笑。なにこの終わり方異色すぎる。凄い。この映画を凡庸と言ってしまう人は映画をみるセンスがないから私が叩き切ってしんぜよう。三隅の中でも「かげろう笠」くらい好き。

桂小五郎がクワマン似の島田竜三なのだけいただけない。
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