ひろ

マイ・プライベート・アイダホのひろのレビュー・感想・評価

3.8
鬼才ガス・ヴァン・サント監督・脚本、リヴァー・フェニックスとキアヌ・リーヴス主演による1991年のアメリカ映画

売春、同性愛、ドラッグ、近親相姦、ナルコレプシーといった過激な内容の青春映画だが、この監督はすごい。重くなりすぎず、かといってチャラい青春映画にもなっていなくて、観終わった後に深い余韻が残る。

性描写や思い出などの演出も斬新で面白い。鬼才と呼ばれる監督にありがちな独りよがりの演出じゃなくて、奇抜でありながら伝わってくる演出だからすごい。アイダホの美しい風景と奇抜な演出を違和感なく融合させているこの監督は偉大だ。

幼い頃に母親に捨てられ、男娼をしながらも愛を求めさ迷うマイクを演じたのは、23歳の若さで亡くなったリヴァー・フェニックス。代表作であるこの作品で、ヴェネツィア国際映画祭主演男優賞などを受賞した。この魅力的で才能に溢れた俳優が、この作品の2年後に亡くなったと思うと、残念で仕方ない。

マイクの親友であり、金持ちの息子でありながら、自分のアイデンティティーを探し求めるスコットを演じたのは、プライベートでもリヴァー・フェニックスの親友だったキアヌ・リーヴス。まだブレイク前のキアヌだけど、親友であるリヴァー・フェニックスとのダブル主演で輝きを放ってた。

脇役もいちいち個性的なのが楽しいが、バッドという役で登場するレッチリのフリーが最高だったね。テンション高いし、まんまフリーな感じがたまらない。フリーといったらリヴァー・フェニックスの親友であり、彼が亡くなった時に救急車で彼を看取ったのもフリーなのは有名な話。

リヴァー・フェニックスの波瀾万丈の人生を思いながら、彼が親友たちと共演している姿を観るとせくなくなる。だが、彼が改名したフェニックスという名前が意味するとおり、彼の作品を観る度に、彼はみんなの前に甦るのだ。
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