クシーくん

ケンネル殺人事件のクシーくんのレビュー・感想・評価

ケンネル殺人事件(1933年製作の映画)
3.1
ヴァン・ダインが創造した名探偵ファイロ・ヴァンスシリーズの同名小説を原作にしたミステリー映画。
私立探偵が警察や検事に歓迎されて、紐を使った密室トリックが大真面目に語られる、夢のある探偵小説黄金時代を象徴するかのような映画。

中国陶器の収集家、アーチャー・コー氏が自室で死亡しているのが発見される。鍵のかかった密室で拳銃を握った状態、発見者も警察も自殺を確信したが、急遽欧州旅行を取りやめて現場に駆けつけた名探偵ファイロ・ヴァンスは現場を見て殺人を確信、早速事件解決に乗り出すが、被害者は多くの人間から恨みを買っており、7人もの容疑者が浮かび上がるのだった…という話。

上述の通り、探偵小説黄金時代のステレオタイプをそのまま映画にしたみたいな内容で、ちょっと微笑ましさすら感じる。趣はあるが、新奇性は何一つない。
1時間13分という短尺の中で、起こるわ死ぬわ怒涛の連続殺人(未遂含)。フーダニットに眼目を置く作品なので仕方がないのだが、登場人物もやたらに出す上に半数くらいが髭面の紳士なので視認性も低い。

正直あまりにも内容がテンプレ過ぎて語る事がそれほどない。マイケル・カーティス監督といえばカサブランカの人だけど、他作品はどうなんだろうなあ。こんな凡作ばかりではないと思うが。
主人公ヴァンスを演じたウィリアム・パウエルは本作が初主演。
事件解説の為に、殺人現場と隣のアパートの精巧なミニチュアを用意してたのは笑った。
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