LalaーMukuーMerry

ALWAYS 三丁目の夕日のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ALWAYS 三丁目の夕日(2005年製作の映画)
4.7
昔見て(少なくとも10年以上前)印象に残っている私の中の名作をもう一度 シリーズその11

昭和33年、333mの東京タワーが完成した年、東京の下町、狭い通りを挟んで向い合う2つの家族、鈴木オートの一家と通称「文学」の一家の、心温まる笑いと涙の物語。音楽もいいですねぇ。家族で鑑賞し、涙がとまらなかった思い出の作品。第3作まで作られましたがどれも大好きです。
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青森から金の卵(中卒の働き手を当時そう呼んだ)として女の子(六ちゃん=堀北真希)が鈴木モータースに集団就職でやってきた。鈴木一家と六ちゃんの出会いがとても可笑しい。怒った時の鈴木オート(=堤真一)のパワーが超ド級のゴジラ並みなのも笑える。
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「文学」(=吉岡秀隆)は、芥川賞万年落選組でうだつの上がらない独身男。仕方なく子供向けの冒険小説を書いて、駄菓子屋の収入と合わせてやっと暮らしているものの、純文学で成功する夢を捨てられない。近くの居酒屋の美人の女将(=小雪)に甘えられて、見ず知らずの男の子、淳之介を引き取って暮らすことになってしまった・・・
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鈴木オート一家は作品の中では、高度成長が始まる頃、暮らしぶりが急速に変化していく普通の家庭の様子を、面白おかしく分からせる役割を担っている感じでしたね。TVが入った興奮の日、力道山(プロレス)に熱狂する人々、氷から電気に変わった冷蔵庫、三輪自動車(通称ミゼット)・・・。私がものごころついたのはこの作品より何年も後の田舎なので、作品で描かれた舞台は直接知らない筈なのだけれど、とても懐かしい感じがしました。相当細部まで時代考証して忠実に再現して見せる徹底したこだわりは素晴らしいと思う。このこだわり方は「この世界の片隅に」に影響していると思います。
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一方「文学」の一家は、観客を笑って泣かせる役割。縁もゆかりもない赤の他人同士が、繋がりを深めて本当の父子になっていく様子が印象的なエピソードで綴られて行きます。これは涙なしではとても・・・。そして私の一番好きなのは指輪のプロポーズシーン、これは日本映画の中でも屈指の名シーンだと思います。
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昭和は人情に厚くて良かった、と言うつもりはありません。多くの人がこの作品に共感するということは、こんなふうに変わっていけるという事だと思うのです。
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超おすすめの家族で見る暖かい作品ではありますが、サンタを信じてる小さな子がいる家庭は、サンタを卒業した頃に見た方が良いでしょう。
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