タカシサトウ

鬼畜のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

鬼畜(1978年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 愛人(小川真由美)に押し付けられた、3人の子どもを、父(緒形拳)がどうしようもなくなって殺そうとする、まさに鬼畜のような話。昔観ていた筈だが。

 でも、現代では、これよりも酷いような虐待事件が起こっていて、何てむごいことなんだと思うけれども。この映画では、緒形拳の宗吉が、妻(岩下志麻)にどやしつけられて、北陸を彷徨って、長男をためらいながら、殺そうとしたり、出来なかったりの、理屈をつけている。

 宗吉が、愛人と妻に挟まれて、どうしようもなく、こうなってしまったのが、本当に痛ましくて、いたたまれない。どちらにもいい顔をしていてこうなったのかもしれず、でも、何とかならなかったのだろうか。現代なら次男の所で止められたかもしれないけれど。また、ほとんどが大人目線で、子どもたちの心のうちがほとんど示されないのが残念に思った。

 最近、次男庄二役の石井旬さんの手記を新聞で見た気がする。岩下志麻のお梅が、いたずらを怒って、次男の庄二に無理やりご飯を口に入れる場面があり、ちょっと見るに堪えなかった。そして、その結果、当時、彼は岩下志麻を恐れるようになったと。成人になり、事情を知っていて岩下志麻とは何でもなかったようだが、本人はご飯が嫌だ的なことを手記で言っていたような気がする。虐待のような撮影の影響があったのかもしれない(2024.2.3)。