群青

告白の群青のレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
3.6
Radioheadが主題歌ってのを知っててそれ以外は前情報なし。そしたら、滅茶苦茶面白かったなぁ。原作は視聴後に読破。

なにせ、冒頭の告白。これがいきなり強烈でここが最高潮。こんなことされたら誰も衝撃で時間止まるわ笑
もう一つの最高潮がファミレス。松たか子さんは隠し剣鬼の爪でファンなのだがこんなに演技が上手いとは思ってなかった。


全編彩度を低くして青みがかっている。冷たい世界っていうのを表現してるのかな、と。


復讐の話だが、主人公は善人だ。というか人間は基本的に善人で、悪人になろうとする事は案外難しかったりする。悪行というのはそれをして、省みない、良心が痛まない、という正義と逆ベクトルの突き抜けた意志の力が必要だから。
しかし、たまに最初からそういったネジが外れているやつがいる。人間なら成長して行く中で育まれる筈のモラルや、倫理観といったネジが外れているやつ。そういうやつは、やったことを悪びれない。自分が好きでやったから。まあ今作の犯人達はそこまで外れてはいなかったんだけど、無邪気なだけで。でもこの無邪気さもこっちからしたら腹立つよなー


話は戻すが、そんなやつに巻き込まれた被害者は、その気持ちをどこに落とし込めばいいのか。ここが、犯罪の被害者の永遠の悩みだと思う。やり返せば済む話なのか、グッと堪えなければいけないのか。相手を許せばいいのか、綺麗さっぱり忘れればいいのか。
今作はそれに一つの答えを出している。しかしこの答えは茨の道で、何故なら復讐はさっき書いたような逆ベクトルの意志が必要。主人公は回想でもあるように、きっと良い人間だった。でも事件をきっかけに鬼になることを決める。それがファミレスで一瞬揺らぐ。ここがあー、と切なくなる。全て吐き出して再度鬼になりきる。相手がクズである以上、同じ土俵に立たなければ復讐は完遂しない。

この黒い疾走感が面白かった。


あとはこれで初めて観たし、これで人気になったであろう橋本愛。美しい!可愛いというより美しい!観た後、誰だあのおなごは!?と思った笑

そして、Radioheadの曲。やっぱりかっこいい。この曲が入ってるアルバムが基本的に滅茶苦茶好きなので、この作品の雰囲気にとてもあっていた。歌詞は気にしない主義なので曲の雰囲気だけの感想だけど笑


決して良い話ではないが、キャスト、音楽、テンポなどがうまく合わさった傑作だと思う。
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