ニトー

スクール・オブ・ロックのニトーのレビュー・感想・評価

スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)
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観ててニヤニヤ、ほっこりする。そしてジャック・ブラックの動きが面白すぎる、地味に長回しだだったりするし。

一見するとジャック・ブラックがロックを押し付けているという学校と同じような構造のように見えつつ、しかしその活動の中で生徒たちが(おそらくは発散できず)抱えている怒りを拾い上げてロックの中に昇華させている。

吹き替えで観たんですけど「大物」って原語だとどういう言葉になってるんだろうか。

ともかく、ロックの敵として「大物」という言葉を使っているわけですが、生徒の一人に「大物ですね」と校長先生に向かって言うわけですが、その直後に実は校長先生も・・・というあたりも上手い具合。

実際、校長先生が実のところ一番の『大物』だったわけで。

しかも特定の人物にフォーカスしつつも、ちゃんとバンドメンバー以外の部分もバンドを構成する一員としてのロールを与える目くばせ。ギャグめかしているバランスも絶妙。

ちょっとした部分で笑わせてくる芸コマ描写も秀逸。黒板にE=mc2を書いておきながら即興の算数の歌はへなちょこだったり。とかとか。

演奏シーンは最後の最後までお預け、というのも結構珍しいパターンな気がする。途中で一回失敗を挟みそうなものなのに。

教わる側だった生徒がジャック・ブラックを奮い立たせるという展開も、ベタではありますがやぱり燃える。真面目っぽいローレンスがフレディと小競り合うのもスキでございます。

何よりジャック・ブラックが下手くそを自覚して、それでもなお好きであるということを拠り所にするのも泣ける。

制服で演奏する、とりわけジャック・ブラックが制服を着ることの意味。抑圧され幼稚な殻に包まれながらも熱唱するその様。

個々の才能を発揮しそれぞれのオンステージを飾りながらも、才能のない彼のためにその才能を発揮するワンフォーオール・オールフォアワンの体現。

大きな成功はしなかった。けれど小さな勝利を収めた。ああいう塩梅のエンディングも最高。

流石リンクレイター。
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