efn

大人は判ってくれないのefnのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
3.8
 仏映画で子どもが主人公の作品というとわんぱく戦争を思い出すけど、粗削りで田舎っぽいイヴロベールに対してトリュフォーのこれは如何にも都会らしくスマート。機能不全家族が主題なのにどこまでも美しい。
 そして何よりパリ、パリ、パリ。もう冒頭のアパート上層の切り抜き(映画全体を通して下半分を排したショットが多い)からキマっている。家庭の不和、学校の授業に嫌気がさすたびに街にくり出し、そこで出会う映画や「牛乳」の解放感といったらない。
 アパートの閉塞感、護送車のフェンス、鑑別書がそれぞれ"判ってくれない"を表してるんだけど、いつもパリに帰ってくる。目つきも性格もきつい母、ニヤついた軽薄な父、そういった演技で示される不穏な空気を町並みが包み込んでいる。
 あと父子で垂れ幕をアパートのドアを跨いで伸ばす→不機嫌な母が父をドアの外に引っ張っていく→取り残されたドワネルが聞き耳を立てるの生々しさよ。
efn

efn