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ベルリン・天使の詩 4K レストア版のefnのレビュー・感想・評価

3.8
 無垢な子ども、愛し合う恋人たち、離婚寸前の夫婦、分解気味の家族、失業、自殺、ベルリン市街戦、そういった人間の悪意をも天使は羨望の眼差しで観る。パンで図書館の日常をぐるっと見渡したかと思えば、唐突にアークに移って注視した勉強中の少年に着地、トラッキングショットからまたまた老人のアークショットへ。
 人の人生は醜い。しかし、味気ないクレーンショットのような天使の生き方よりはマシだ。ジャンルを抜け出しコロンボというキャラクターを脱ぎ捨てたピーターフォークの一挙手一投足が血の通った人生の豊かさを表している。
 撮影と演技の特質を逆手に取った人間讃歌だった。
 最後のフェリーニを追悼するクレジットにはうるっときた。彼なくしては可変クレーンショットを最大限活用した本作は生まれなかっただろう。
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