黒沢の無機質な導演が幽霊絡みのモチーフにピッタリはまっていてかなり良かった。人間らしさがないから幽霊化前後の境界がいい感じに曖昧。拘束器具による固定→筋弛緩剤効果による人形化はそのままは窓辺に立つ幽霊への導入になっているし、幽霊から滴る水も感光材の水洗水と結びついて写真撮影に対する恨みつらみで結びついている。(ダゲレオタイプの女=播州皿屋敷みたいな主題回収で笑える)
何度も再演される階段を昇る幽霊が逆に生身の人間が転落することで死の表現、幽霊化の起点にもなっていて、運動の意味づけも絶妙だった。
これまでにないくらい世界観と黒沢の作風がぴったり一致している。CUREに匹敵する作品だと思う。