ろ

大人は判ってくれないのろのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
5.0

”お父さん お母さん、僕はうそつきです…もう一緒に暮らせません。一人で頑張って生きていきます…”


冷たい風が吹く朝。
私は母と喧嘩をしました。
自分が悪いのは分かっているけれど、なんだかもやもやして顔も見たくなくて。今日は授業もないのに朝5時半に家を飛び出して学校に来ました。


12歳のドワネル。
学校の成績も悪く、母親には強く当たられる毎日。お金やモノを盗んでは怒られる日々を過ごす。ある日、学校を停学になってしまい…


学校でも、家庭でもうまくいかないドワネル。彼には心の居場所がない。

学校を無断欠席した時のこと。
友人と一緒にゲームセンターへ。
ぐるぐる回る乗り物は何だろう。とても楽しそう。
もうやめてくれ!もっと回してくれ!
相反する気持ちが共存している表情の人々。
悪いと分かっていながら、ついついモノを盗んでしまうドワネル。
彼の気持ちと行動も相反している。
ぐるぐる回るあの乗り物の中に、彼はずっと閉じ込められているようだ。


少年鑑別所へと送られるドワネル。車の中から流れゆく夜景を見つめる。夜のネオンが彼の涙を照らす。
なんて美しい音楽と映像なんだ…!


子どもを鬱陶しがるお母さん。
鑑別所での面会の一言、あれはグサッとくるね。
「お前も自立したいんだろ。勝手にしなさい。何でも好きにすればいい」
これ、一番辛い。
怒られているうちはまだいいんだ。
突き放されたと感じた瞬間、すごく寂しくて惨めで独りぼっちの気分になる。


広い広い海はドワネルのささくれだった心を癒したのか。


何かすれ違いやわだかまりがあっても、映画を観て仲直りするっていいなと思いました。今日はどんな顔をして帰ろうか。。
ろ