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大人は判ってくれないの一のレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
3.8
フランスの巨匠 フランソワ・トリュフォー監督長編デビュー作

トリュフォー自身の少年時代を題材にした自伝的な作品

登場する大人は誰ひとり子どもを判ってくれない
母親も父親も教師すらも判ってくれない
最後まで話を聞いてくれる大人は全く現れない

育つ環境の重要性や矛盾する汚い大人を子ども目線で丁寧に描かれる

反抗期を迎えた非力な少年とそれを全く理解しようともしない大人たち
不器用ながらもなんとか自力でもがく少年を、淡々と映し出す映像は切なくて胸が痛い

誰しもがこのくらいの年齢の時に持った経験のある感情

悪意のないいたずらを受け入れる包容力もなければ愛もない
愛情がない放任はただの育児放棄…

ただし、三人で映画を観に行った帰りの車内シーンだけは、いつになくはしゃいで幸せそうだったのは、恐らくトリュフォー自身がそうだったのだろう
ここは思い出すだけで涙が出そうになる…

そんな中でも子供が子供らしく遊んでいるのが微笑ましくて印象に残る
先生が後ろを向いてるときにいたずらしたり、人形劇をキラキラした目で楽しむ姿

そしてラストの映画史に残る屈指の名シーン
たしかにこれは凄すぎて感動

テーマは重めでも映画のトーンは暗くもないので、前向きに捉えられるし希望もある

デビュー作ながら、少年の心情をこれほど鮮明に映像化したトリュフォー監督の力量
邦題のセンスも抜群だとおもいます

[Rotten Tomatoes 🍅100% 🍿94%]
[IMDb 8.1 / Metascore - / Letterboxd 4.3]

2020 自宅鑑賞 No.396 GEO
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