Melko

紅の豚のMelkoのレビュー・感想・評価

紅の豚(1992年製作の映画)
4.2
「良い奴はみんな死ぬ」

「飛行艇のローンは終わりました。いかがでしょう?愛国債権などお求めになって、民族に貢献されては。」
「そうゆうことはな、人間同士でやんな。」

「やらせてもらえるのね!ありがとう!一生懸命やるわ!」
「だがなお嬢さん、一つだけ条件がある。徹夜はするな。睡眠不足は良い仕事の敵だ。それと美容にも良くねぇ」

「どうしたら元に戻るのかしら…ねぇ、私がキスしてあげようか?!」
「バカヤロウ!そういうのは大事なときにとっとけ!」

「豚は殺しはやらねえ」

「マルコ、マルコ聞いてる?あなた、また一人女の子を不幸にする気なの?」

ずっと気になってたけどなんか見てなかった作品。重い腰を上げ、ようやく。
どうしよう…大好きだわ、この作品…
子どもの頃に金ローで見た時は、華やかさや可愛らしさを感じられなくてすぐ飽きちゃって、最後まで見れなかった。
しっとりとした、大人の作品。でも、全編軽やかコメディタッチで見やすい。BGMもコミカル。そして何より、、森山周一郎が声を当ててる主人公ポルコ・ロッソ(マルコ・パゴット)が、もうむっっっちゃくちゃ渋くてカッコいい……それでいて、脇を固めるキップが良くて気の強い女たちにどやされ丸め込められ顔を赤くしたりするのが、もうめっちゃかわいいの、、、

これも岡田斗司夫ゼミである程度解説聞いてから見たもんで、ふんふんなるほどね。「豚の呪い」ってのはそうゆうことね。
って分かった上で見たからすんなり入ってきた。そしたら後はもう、ポルコのセリフ一つ一つの渋さに酔いしれるだけ。
いいわ、この声、とてもいいわ、、
もうなんなら森山周一郎の声が良いんだな。素敵だわ…渋い系の声優の中で一番好きかもしれないわ。
ただポルコ36歳ってのはいくらなんでも渋すぎるわ。笑

天才的な飛行技術で飛行艇を操り、女好きでキザなポルコ・ロッソ。
そんなポルコを中心に、マンマユート団を始めとした空賊連合や女設計技師のフィオ、その祖父ピッコロ、そして、なじみの歌姫マダム・ジーナと彼を取り巻く連中もなかなかクセの強い面々。
序盤のマンマユート団とスイミングスクールの子ども達のやり取りから、もう全編クスッとなるギャグ祭り。
子どもの頃はそんなイメージ全くなかったから、今回見てみてこんなに笑いどころ満載だったとは…と新たな発見。

ジーナ役 加藤登紀子 圧倒的な歌唱力と艶っつやの声も良い
フィオ役 岡村明美の元気はつらつな声も良い
マンマユート団長役 上條恒彦のおもしろ渋い声も良い
ポルコの新たなライバル ドナルドカーチス役の大塚明夫も声が若々しいが渋くて良い
みんなみんな、声でいーい仕事してるんだ……

それに、この作品はパヤオの気合の入った飛行艇描写も堪能できる
上から下から斜めから、色んな角度で見せてくれるぞ飛行艇!パヤオはホントに飛行機好きなんだなあ
飛び立つその瞬間、まさにこちらに向かって飛んでくるその構図、人よりも飛行艇を思い切りカッコよく描いてる。飛行シーンはどれもこれも迫力満点。

戦争じゃないから殺しはやらない。
頑ななマルコの美学。

何も刺さらず地味な作品だと感じた子どもの頃の私。
見て聴いて、感じられるあらゆる瞬間にシビレた今の私。
大人になったということなのかしら…🍷

飛ばねえ豚は ただの豚だ…!
Melko

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