カルダモン

紅の豚のカルダモンのレビュー・感想・評価

紅の豚(1992年製作の映画)
4.4
ピッコロおやじと一族一同で造る飛行艇の美しさ。狭い用水路から空の中に抜けていく瞬間の疾走、浮遊、上昇の三段構えに宮崎駿の念を感じる。
「ファシストになるより豚でいる方がマシ」などと豚に代弁させているように、やはりこの人は徹底してレジスタンスなんだろうな。
フェラーリンの飛ぶ理由も因果だし、空軍の立場からポルコを気遣う優しさに打たれる。

宮崎駿作品の中でもかなり好きな作品なんだけど、あまり子供には受けないのかな?どうなんだろう。
ジーナが少女心に戻る瞬間の心が解けた表情や飛行艇の墓場に登っていく描写、ムッソリーニ政権下の背景など、子供向けではない描写も多々あるけれど、単純に飛行機のエンジン音だったり滑空していく気持ち良さ、海の青やホテルアドリアーノの雰囲気への憧れなんかは子供時代に得ておくべきかなとは思う。

どうでもいいが、カーチスがハリウッドデビューした作品の名が『トリプルラブ』だったことを知って含み笑い。グルメ描写としてピッコロ社のみんなで食べるスパゲッティがべらぼうに美味そう。ボリボリ食ってビシバシ働こう!ぬっはっは!

最後の殴り合いは長いよね。