タッくん弐

トレインスポッティングのタッくん弐のレビュー・感想・評価

トレインスポッティング(1996年製作の映画)
3.9
最悪というほど最悪でもないことを知っていて時折凹んでいるような素振りを見せたがる小生ですから

今作のような混沌に苛まれる若人に憧れて聞かれてもいないのに秘密の安売りするスピッツさんの歌詞みたいな青春でした

貧困や健康状態に悩まされることもなく、偽物の闇を纏し吾輩が唯一自覚していたのは輪に加われない不器用さ、所謂コミュ障

確固たる目的のためなら如何なる手段も問わない劇中の彼等の様にもなれずただ嫉み、自らを慰める日々が続いたのです

透明なウォールポケットを購入し、今作のポストカードを入れて部屋に飾る

思うに大英帝国を訪れたこともないチェリーくんが雰囲気だけでなんとかしようとしていた感が強く

物語の本質云々置いといてファッションとして今作に接していたのはもはや一切否定出来ぬ事実

しかしながらイギー・ポップもアンダーワールドも、ルー・リードだって恥ずかしながら初めてここで触れた旨

そして皮肉にも今現在、物に溢れた生活で人生を潤し便安に浸る小生の人生はこの主人公がなりたかった人生なのだろうかと

ふとした瞬間に思い、何時ぞや下した自らの選択に憤りとある種の諦念を感じてしまう次第でございます

お薬で得る快楽を知りません故、巷に散らばるうれしい楽しい大好きを探して如何に愉しめるかを模索したあの頃

個人的に冒頭のマーク・レントンよろしく全速力で駆け抜けたのは主に女性から逃げるときが多かった気がします

「ナニシテルンダヨウ!」と背中をボカンと殴られた日然り、「え、なんで!怒」と理不尽に叱られたあの日然り

中華街の占い師に「女難の相がある」と述べられる故、きっとあの日にかけられた呪いが今でも解けぬまま

埼玉の便所で昼メシ食うこともしばしば、影響からの模倣か、はたまた自らを陥れたい自傷行為か

今思えばアトミックな恋がしたかっただけなのは明白でいつになったら朝焼けの中、ニヤニヤしながら旅立つ日が来るのでしょう

ああでも明日は自転車のパンクを直しに行かなくちゃ

ときめきが消せやしない
いま、あなたに伝えたい
タッくん弐

タッくん弐