mingo

ハナ子さんのmingoのレビュー・感想・評価

ハナ子さん(1943年製作の映画)
4.2
人間万華鏡を用いた天井からのショットなど、バズビーバークレーの影響をひたすら濃厚に受けた戦後和製ミュージカルの傑作。贅沢は敵だ!とかの戦時プロパガンダ的内容も吹き飛ばすほどくらいには愉快。轟夕起子が歌う「お使いは自転車に乗って」に元気づけられたひとは多かったのではないか。出征兵士の家族は兵士を明るく送り出すべきだ!とか説教臭いメッセージではなく、サザエさんのような生きていく過程で生活の笑いに満ちたのどかな物語を通して、一貫して明るく楽しい調子で伝えられるのが本作の強みである。そして前述のバークレーの人間万華鏡演出は人間を機械部品のように扱っているせいかファシズム的な不気味さも持っていて、楽しさと不気味さが相反したとき謎の高揚が生まれるのも人間だからなのかと新しい発見を体験。検問でカットされた映像はどんな演出が詰め込まれていたか考えるのも楽しみな反面コントロールされた不気味を抱かざるを得ない。
mingo

mingo