ハナ子さんの作品情報・感想・評価

「ハナ子さん」に投稿された感想・評価

遂に観た。戦時中の映画なのにアメリカのミュージカルを真似たレビューシーンを導入するのには少し疑問が残るが、そのクオリティはめちゃ高い。冒頭の隣組の歌だったり、ラストの轟夕起子の踊りだったり所々テンション狂っててマジで怖すぎた。でもそれでこそミュージカル。素晴らしい。

※本作で地味に嬉しかったのは岸井明の出番がちゃんとあったこと。岸井明本当に大好きだし、岸井明特集本当にやって欲しい。あと、デコちゃんは可愛すぎる。歌うまいんだから、舞台だけじゃなくてもっと色んな映画で歌って欲しかった。
べらし

べらしの感想・評価

2.6
大日本帝国は素晴らしい国なので『1984』みたいに陰鬱な顔をした人は誰もいないし、「5分間憎悪」のような誹謗中傷も決してあり得なかった。
みんなこの映画の登場人物のように夫が戦地に送られても笑顔を絶やさず、隣人を気遣い、国を想っていたのであって、間違っても「戦時中は暗かった」などという識者の言に耳を傾けてはならない。
そして少しでも不安げな表情を浮かべた人間がいると「どうしたの?」「みんな笑ってるのにどうして笑わないの?」「笑おうよ」と千人針片手にニコニコ迫ってくるのであった。
ラピュタ阿佐ヶ谷の轟夕起子特集にて。戦時中(1943年)に作られた異色ミュージカル映画。何が「異色」なのかというと、その異様なまでの明るさとはしゃぎっぷり。完全なる国策戦意高揚映画で、娯楽を楽しんだつもりになるために大の大人がかくれんぼする「つもり貯金」をしたり、ボーナスが国債で支払われたり、主人公の兄が足を失って戦地から還って来たり、「隣組」の中で結婚をまとめて「産めよ増やせよ」を奨励したりというのが次々に出てくるのは当然ながら、それらの合間に何の脈絡もなくレビューが挿入されたり、轟夕起子をはじめとする出演者たちが、今の自分たちから見ると「異様」としか思えない明るさで戦時下の自由とは言えない生活を演じている。監督(マキノ正博)のことも製作の背景もよく知らないので、何らかの意図があるのかないのか分からないが、この「異様さ」に却って何らかの反戦的な意図を感じてしまうのは深読みのし過ぎだろうか。

相手役の灰田勝彦は(Wikipediaによると)ハワイ生まれで軍部からも睨まれていたため軍人嫌いだったそうだし、すでにこの時、召集された戦地から傷病兵として帰還した後だったそうなので、このような能天気な戦意高揚映画に出ることには気持ちの奥では複雑な思いがあったかもしれない。また、隣組で夢中で空襲に備えたバケツリレーをやっている姿は、東京大空襲の想像を絶する威力を(知識としてだが)すでに知っている今の自分たちからは滑稽さを通り越して哀しさすら感じた。

そのような時代背景から来る「作品の意義」を考えることももちろん興味深いが、冒頭の隣組の人たちが歌う歌が「ドリフの大爆笑」のテーマソング(「ド、ド、ドリフの大爆笑〜」というアレ)の元ネタだったということを知ることができたり、轟夕起子のひょうきんな父親役が、『酔いどれ天使』で三船敏郎に殺される「あの」悪役・岡田を演じた山本礼三郎だったり、十代の高峰秀子がはじける笑顔を振りまいていたりと、楽しめるポイントの多い作品だった。
バークレー的なレビューシーンが幾度か挿入されてて、それ自体は完成度が高いのですが、あまりにも唐突且つストーリーに関係ない場面で始まるのでなんだかなぁという印象が先立ちます。プロパガンダ映画なので特別な意図もあるんでしょうけど…。
43年製作とあって検閲により多くのシーンをカットを余儀なくされたらしいが、それでも後の無責任シリーズを彷彿させるかのような陽性で洋風な演出。
ただ、ともすると度を超えて異様とも思えるはしゃぎっぷりに、戦時下の苛酷な状況を深読みできないわけじゃないが・・。

これや川島雄三「還ってきた男」あたりを見て戦中のイメージ(特に人間像)がだいぶ変わりました。
テンション高すぎて狂気を感じる
プロパガンダを逆手に取ったかのような演出
rico

ricoの感想・評価

3.3
マキノの国策ミュージカル映画。
基本的には漫画原作のホームコメディであり、「節約しろ」「歩け」「子供を産め」といった事をハナ子さんが結婚出産夫の出征までの中でアピールするだけのものなのだけれども、要所要所に全く筋に関係のないレビューがちらほら入っている。
面白いかどうか別にして、とてもマキノ的だと思うし、多々現れる横の動きがまたマキノ的だなあと思ったり。
ラストの轟夕起子が夫に「あなたの為に何かしてあげたいの!・・・でんぐり返しするわ!」とグラウンドでいきなりでんぐり返しして、もんぺ姿で踊り出すのには驚いた。