アニマル泉

飼育のアニマル泉のレビュー・感想・評価

飼育(1961年製作の映画)
4.3
大江健三郎の芥川賞作を松竹退社直後の大島渚が撮った大胆な作品である。終戦末期の長野の村に米軍捕虜、疎開者など異人たちが入ってきて大混乱に陥る物語だ。大島は長いワンシーンワンカットで描く。アップフォローのワンシーンワンカット、ロングショットのワンシーンワンカットを奔放に活用する。石堂淑郎が大島瑛子を草むらで犯す場面のロングのワンシーンワンカット、大雨のなか八郎(入住寿男)が柱に縛られて村人達の罵り合いになり遂には三國連太郎が刀を抜くロングのワンシーンワンカット、村人達が全てを忘れようと開いた宴会に石堂淑郎が乗り込んで刀を振り回す場面の固定のロングのワンシーンワンカット、力強く鮮烈である。
子供たちのアップ、真っ直ぐな眼差しが強調される。まさに臭いものに蓋をする棺桶の埋葬場面、延々と土が撒かれる映像に村人たちの「我々は何も見なかった、知らなかった事にしよう」という声がかぶる。ラストの火葬の炎が印象的だ。村祭りの踊りと見つめる八郎が重なり、もう一つの炎が燃えあがる。あの炎は何なのだろうか?
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