みそらしど

ペイ・フォワード 可能の王国のみそらしどのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

人にお薦めしてもらったので鑑賞。

Pay It Forward =次へ渡す

この考え方は好ましいと思ったし、それに基づく行動は良いことだと思うけれど、この映画を最後まで観て、素直に「自分も見習いたい!」「人にもこうして欲しい!」とは思えなくなった。
たしかに、次へ渡すことで人の気持ちを動かしたならば、それは少しだけ世界をマシにすることにつながるのかもしれない。でも大切な人のことを考えたとき、その人が行動を変えることでその人自身が傷ついたり、損をしたりするのであれば、そんなことして欲しくないとさえ思ってしまった。それはこの映画の結末のせい。
そんな勇気を出さなくていいから私の前から消えないで、と。

「渡された」側である、ホームレスが結局は薬に再度手を出してしまったり、強盗が攻撃的な手段で病院で暴れてまた捕まったり、DVされていた妻が夫にもう一度チャンスをあげたくなったり…こういう「繰り返し」を見ていると、単純にペイフォワードを善い行いだとは思えない。たしかに世界や人は少し変わっているけれど、世界や人はそんなに簡単な変わらない。
そういったことも全て含めて、次へ渡すことの意義や力を考え、そのための勇気を持って欲しいというメッセージがあったのだろうか。それとも、次へ渡すかどうかをただただ問われた映画だったのだろうか。
しばらくは引きずりながらグルグルと考えてしまいそうな一作でした。