もじゃ

タクシードライバーのもじゃのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.5
帰還兵の社会への馴染めなさは解決できない。

心を病んだタクシードライバーのトラヴィスは14歳の娼婦と出会う。彼が持つコンプレックスや不満はどこに向かう?
他人との距離感がわからず、教養の無いことを恥じている様は心に痛い。初デートでポルノに行ったのに失敗を相手のせいにしてしまうマインドは怖いけれど、なんだか身につまされる。
様子のおかしい主役を演じるロバート・デ・ニーロは鬼気迫るものがある。役者として放って置かれないのは当然。孤独なデニーロだけでも名画だったと思うけれど、幼いジョディ・フォスターからは目が離せない。美しいと言ってはいけないような微妙な年頃が作品自体を危ういバランスにしている。
構成としては話が大きく動き出す前のセットアップが長い。トラヴィスの不器用さ、失敗をじっくり見せられて、こちらも心に溜め込むものがある。その後を考えれば効果的。銃で自信を得て、成功体験を持ってしまうのが恐ろしい。
他人事ではなく移入してしまう作品。
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