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大脱獄のtjZeroのレビュー・感想・評価

大脱獄(1970年製作の映画)
3.0
まず、主演のふたりのキャスティングに食いつかされた。

『OK牧場の決斗』でドク・ホリデイを演じたカーク・ダグラスと、『荒野の決闘』でワイアット・アープだったヘンリー・フォンダの共演。

ドクとワイアットが時空を超えて対決しちゃっているような面白い企画。
ここではダグラスが強盗犯、フォンダが刑務所長として敵対し合う。

このダグラスが扮する囚人がとんでもない輩(やから)で、集団強盗しても平気で仲間を裏切って獲物を独り占めするし、脱獄に協力してくれた同房者たちも見捨てて逃げ切ろうとしてしまう。

製作されたのは1970年。まさにアメリカン・ニューシネマの時代らしい、アンチヒーローぶり。
それもそのはず、脚本はデヴィッド・ニューマン&ロバート・ベントンの『俺たちに明日はない』コンビ。

…このように、面白くなりそうな要素が揃ってるのに、気の抜けたビールみたいな出来になっちゃったのは、演出が古くさかったからかもしれない。
ジョセフ・L・マンキウイッツは’50年代に活躍した監督なので、この新感覚(ニューシネマ)の脚本を持て余しちゃったのかも。

ダグラスは自分のプロダクションで赤狩りで追放されていたダルトン・トランボ(脚本)を起用して『スパルタカス』(スタンリー・キューブリック監督)を製作したりしているし、フォンダもマカロニ・ウエスタンに出演したりしているので、主演のふたりは新しい感覚の脚本にも充分適応できていたはずなので惜しまれる。
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