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禁断の惑星のtjZeroのレビュー・感想・評価

禁断の惑星(1956年製作の映画)
3.5
23世紀。
20年前に消息を絶った宇宙船を捜索すべく、辺境の惑星に降り立ったクルーを迎えたのは、隠遁生活を送る、生き残ったモービアス博士だった…。

愛くるしく、ユーモラスな博士の相棒ロボ”ロビー”のおかげで、チャーミングなB級SFに見えがちだけど、内容はかなり難解。
SFというより、不条理ミステリ…といった方が近いかも。

高度な文明を持つ生命体が、潜在意識を活用して半永久的なエネルギーシステムを構築していて、そのエネルギーが暴走して人類を襲う…というかなり高尚な筋立て。

なので、そのぶっ飛んだアイディアを映像化するには、当時(’50年代)の技術が追い付いていない感じ。
映画よりも文学で表現した方が、本作の哲学的で難解な内容は輝いたのではないかと思う。

もし無理にでも映像化するとすれば、スタンリー・キューブリックとか、オーソン・ウェルズとか、イングマール・ベルイマンみたいな破天荒なヴィジョンを表現できる映画作家でないと難しいのかもしれない。

ご存命…というか現役のディレクターでお任せしたいとすれば、スピルバーグよりも、フランシス・フォード・コッポラかなあ。
異郷に自分だけの王国を築いている半狂人を連れ戻しに行く…というプロットは『地獄の黙示録』に通じるし…。
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