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潜水服は蝶の夢を見るのshinoのレビュー・感想・評価

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)
3.5
ジャン=ドミニック・ボービーによる自伝を映像化した作品。
大手ファッション誌の編集長、ジャン=ドミニック・ボービーは脳溢血に襲われる。一命は取りとめたものの、全身が麻痺し、閉じ込め症候群の状態に陥る。
唯一動かせるのは左目のみとなったが、彼はまばたきのみで自伝を書くことを決める。

完全にタイトル買いでしたが、すごくよかったです。
閉じ込め症候群の状態を潜水服と見立て、自身の想像力を蝶としたことが、ファッション誌の編集長らしいというか。ロマンチックでオシャレだなあ。

映画のほぼほぼがジャンの視点から描かれているので、今流行りのVRで見れば、本当に自分がジャンになったように見えるのかな。
とにかく映像美が素晴らしく、ジャンの視点で見る世界はとても美しくて悲しいものでした。子供が海で遊んでいる様子とか、バルコニーで過ごしている様子とか、父との会話とか、何気ないことなのに、すごく綺麗だったなあ。
終始綺麗な映像でいるからこそ、ラストが沁みる。
もし自分がこうなってしまったら?と考えるとゾッとする。

乙一さんの『失はれる物語』も、閉じ込め症候群ではなかった気がするけどそういう話だったなあ。
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