LalaーMukuーMerry

ハッシュ!のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

ハッシュ!(2001年製作の映画)
4.3
これは凄く面白かった。ゲイ・カップルと一人の女性のちょっと不思議なユニットができるまで、そして3人が周囲にひき起こす騒動の記。これまで見た同性愛を扱った作品の中では一番面白かった。と言っても、それほどたくさん見ているわけではないが(「ブロークバック・マウンテン(2005)」、「人生はビギナーズ(2010)」、「アデル、ブルーは熱い色(2013)」…)。

どんよりした日常の空気の合間にふっと挟み込まれる笑いのセンスのおかげで、好感が持てる作品に仕上っていると思う。ラストの笑いも良かった。

3人ユニットのそれぞれを丁寧に描くことで、彼らにだんだん感情移入していって、ちょっと応援したくなる。これが監督の狙いかな。頭から否定して決して理解しようとしない親族との修羅場シーンは凄かった。兄嫁の凍りつくほどの罵りの言葉。同性愛を認めない理由は、単に理解不能で気味悪い、だから嫌いという事なんだろう。結局のところ、自分と相手の違いを認めること、その上でその人を受け入れようとしているか、という自分自身の問題なのだと気づかされる。(お互いがお互いを認めるという人づき合いの基本を忘れないこと。)

この3人のユニットを核とする「家族」(3人+あのスポイトで生まれるであろう子供たち)のその後の話も作ってもらいたいですね。

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同性愛者の割合は、いったいどれくらいなのだろう? 隠して暮らしている人も多いらしいので、実はかなり高いのかもしれない。近年急増しているようにも思える。こんな資料がネットにありました。
① USにおいては、男性の約8%は3年間の同性愛経験者、一生の同性愛者は4%、同じく女性では、一時的同性愛者20%、一生は2~3%(1990年調査)
② 日本の5大都市での1995年調査では約10%が同性愛者、
③ 2006~8年のUS統計では男2.8%、女4.6%が同性愛者、
④ 2011年ギャロップ調査、アメリカの成人は、成人の25%は同性愛者だと思っている

何の根拠もないが思い切り高く見積もって、男女の中の同性愛者の割合がそれぞれ40%であるとし、すべての適齢期の人が伴侶を見つけるとすると、世の中は20%のゲイ・カップル、20%のレズ・カップル、つまり40%の同性カップルと、60%の男女カップルができることになる。単純に考えると、子どもを産むのは60%の男女カップルのみだから、同性愛者の割合が増えると、人口減少に拍車をかけることになりそう。でも、このお話のような3人ユニットのような核もありうるとすると…、考えただけで相当ややこしくなる。少なくとも人口減少が同性愛者のせいで加速することにはならない気がする。

科学・技術が進歩して試験管ベビーが可能な環境ができたことが、こんなユニットが生まれる素地をつくったのでしょう。子どものできない夫婦には大切な技術なのだけれど、セックスレスで子供をつくれるこの技術を無闇に利用することは、なんだか自然の摂理に反していると思われるので、私としては、そこが気になります…。

それに、3人ユニットを認めるとすると、民法の規定を根本から変える必要があるし、これは相当大変だ。