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ミンボーの女の一のレビュー・感想・評価

ミンボーの女(1992年製作の映画)
3.8
『タンポポ』『マルサの女』の伊丹十三監督作品

ヤクザの横行に四苦八苦するホテルを守るため、“ミンボー”(民事介入暴力)専門の女性弁護士と、ヤクザの対決を描いた痛快作

本作のヤクザは、ありがちな任侠映画で美化された義理や人情などといった優しい映画的設定はなく、完全なる悪として描かれているので、弁護士やホテル側の人間を無意識に応援してしまう

ホテル従業員がミンボーによりノウハウを身につけ成長し、威圧され牛耳られていた世界を、ミンボーとの協力によって撃退するストーリーは、観ていて非常に爽快でスカッとする

伊丹作品おきまりの宮本信子の無双っぷりはとても気持ちが良く、ヤクザと真っ向から戦いを挑む姿は尋常じゃなくかっこいい

煽るような音楽や演出も物語に緩急をつけ、バランスの良い最高のエンターテイメント作品になっています

本作では、現実でもヤクザを撃退するマニュアルとして使えそうな知識が詰め込まれているので、結果的に本物のヤクザを怒らせてしまい、公開されてすぐに山口組系の組員達に刃物で監督が実際に襲撃されています
その時は九死に一生を得ていますが、その後も巨大な反社会勢力に狙われていたのでしょう
残念ですがこれが監督の死へ追い込まれた原因のひとつという話もあります…

とにかく伊丹十三の世界観のまま、巨悪なヤクザを叩きのめすという、老若男女問わず誰でも楽しめる痛快で素晴らしいエンターテイメント作品です☝🏻🔥

2020 自宅鑑賞 No.362 GEO
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