秋日和

ハートに火をつけての秋日和のレビュー・感想・評価

ハートに火をつけて(1989年製作の映画)
3.5
全編に渡って夜のシーンが素晴らしい。影の使い方は古典ノワールを想起してしまうくらいお見事だし(と、いうか作品の展開もノワールによく見受けられる感じなのだけど)、赤い光が室内に差し込むショットも画面設計が的確になされている気がする。昼間のシーンを撮るのがあまり好きではないのか、すぐに意味もなく夜のシーンに移行するのも何だか好感が持てる。

恐らくデニス・ホッパーは重度のカッコつけたがりなのではないかなぁと思いながら観た。しかし一方で撮りたいショット以外は結構適当……というか能天気に撮られており、「映画なんだからカットが変わればそれ以前のこと全部を信じる方が間違っているんだよ」と言わんばかりのつなぎがなされている箇所が多々ある(それはそれでとても面白いのでマイナスには決してならない。自分としては寧ろプラスに働いているとさえ思っている)。
そういった「こだわり」と映画を信じた「楽観」が両立した妙な映画には違いないのだけれど、実は一方で物凄く丁寧に撮られた映画であるかもしれないと思わされる面もあった。
それは「ジョディ・フォスターと鏡・ガラスの関係性」についてのことで、もしかしたら単なる自分の勘違いかもしれないし、デニス・ホッパーも何ら自覚なく偶然起こってしまったことなのかもしれないので一概には言えない……けれど、それがもし偶然であるのならば、デニス・ホッパーはなんて映画に愛された人なのだろうと思う。
秋日和

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