秋日和

アネットの秋日和のネタバレレビュー・内容・結末

アネット(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

アダム・ドライバーがジョークを飛ばすとき、マイクにはコードがついている。コードは邪魔で、不自由で、首に巻き付ければ自分が死んでしまう。だけど、そのコードがある限り、彼は舞台と繋がっているんだと思える。
アダム・ドライバーが罵声を飛ばすとき、マイクにはコードがついていない。自由だけど、もう彼を繋ぎとめるものは失くなってしまったんだなと思った。

ひょっとしてカラックスの映画のなかで一番分かりやすいかもしれない。ミュージカル映画で歌われる台詞は、基本的に本心を乗せるから、彼らの気持ちが伝わりやすかったのかもしれない。
ちょっと大袈裟だなと思うシーンはあれど、多分『ポンヌフ』よりは大人しい。揺れる船室内の「おきあがりこぼし」には、大胆さの中の繊細な一面を感じた。

カラックスの映画は全体で観ると好きか嫌いかよくわからなくなってしまう作品が殆どで、この映画もその点は変わらない。次作も楽しみです。
秋日和

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