芋けんぴ

機動戦士ガンダム F91の芋けんぴのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム F91(1991年製作の映画)
4.1
本作には1stガンダムとのある共通点がある。

それは「物語のクライマックスが敵を倒すとか、戦争に勝つとかそういうことではなく『彼女(彼)に帰る場所はあるか』という問題の答えで話を締めくくっているところ」である。

つまり、敵を撃破したことが作中では割とあっさり描かれ、それはもちろん凄いんだけどセシリーを救う方が重要、てところが物凄く好きなのだ。

ある孤独に陥った個人に帰る場所はあるのか。

1stガンダムも、シャアとの対決や連邦の勝利よりも、こんな殺人マシーンになってしまったアムロに帰る場所はあるのかという問題の方が主題として描かれていたように思う。敵を倒してハッピーエンドなのではない。敵を倒した主人公に帰るべき場所があるのかが物語の結末にとってはもっとも重要なのだ。

富野さんというのはだいたいこういうことを物語の結末に持ってくるのが好きな人で、ザンボットもゼータもブレンパワード もそうだった。

戦いの結末よりも個人の生還に大勢の人々が心を一つにする。

脱出できるかできないか。
救出できるかできないか。

行きて帰りし物語において、愚直に帰ることを物語にする人。富野さんが僕はやっぱり好きだ。
芋けんぴ

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