しろくま

博奕打ち 総長賭博のしろくまのレビュー・感想・評価

博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)
4.0
《どうして跡目を受けられねえんだ》
〝折角のご推挙ですが、あっしは、元は大阪西浜組の親分から盃を頂いて渡世の道に入ったよそ者の分際です。古くからの人もいることですし、あっしの出る幕じゃございません〟

天竜一家の総長・荒川が倒れて、後継問題が浮上。病床の荒川が、自ら後継者を指名すればよかったのに〝アトメハヤク〟って丸投げをするから傘下の組長が集まっての話し合いに…。誰もが中井信次郎(鶴田浩二)に任せたいと言っているのに、本人は外様であることを理由に断り、兄弟分の松田鉄男(若山富三郎)が適任だと言うけど、松田は現在服役中だし…。

すぐ〝僕やりたいです〟って言わずに、一度は〝他に適任者がいるのでは?〟って辞退するのが謙譲の美徳というもので、それでも〝そんなこと言わずに、信次郎さん引き受けて〟って再度頼まれて〝じゃあ引き受けましょう〟っていう流れになると思っていたら…。

あの時、荒川が後継者をちゃんと指名していたら、信次郎が断らずに引き受けていたら、血で血を洗う跡目騒動にならずに済んだのにね。

昨日観た〝侠花列伝 襲名賭博”のようなヒロインの入浴シーンやいちゃラブは一切なく、ひたすらオッサン達の内輪もめが続く重厚な社会派任侠映画。筋を通すっていうのは難しいね。

山下耕作監督の〝兄弟仁義〟のような仁義を重んずる任侠映画も好きだけど、脚本の笠原和夫さんの〝仁義なき戦い〟のような仁義なき組織抗争の映画もいいね。本作は、そんないいとこどりのやくざ映画。これはお勧め。

視聴メモ:2024.03.19/034/東映シアターオンライン
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