Melko

大阪物語のMelkoのレビュー・感想・評価

大阪物語(1999年製作の映画)
4.0
「相変わらずのどこが悪いねん。そん時そん時でウロウロ漫才やってるお前らみたいなんもおったらな、ずーっと同じで、それ期待する客もおんねや。」

「あんたらのお父ちゃんお母ちゃん、笑われてんのちゃうで。笑わしてんねやで。よう見といたりや?」

「なんかみんなな、霜月のおっちゃんの話するときな、楽しそうやなぁ」

「大阪てええとこやで。ホンマに。ええとこや大阪て……何がええのんかいな…まずうどんがうまいことな。」

▼地元の大阪が舞台にて、例によって今回は大阪弁混じりのレビューです▼

あー。2回泣いたわ〜。
なんの涙やろか。人生色々やな!

「ブラックレイン」も大阪が舞台やったけど、アレは自分が生まれる前に作られた作品やし、大阪の街並みがイマイチピンとこんくて、資料映像程度の印象しかなかったけど、これはバッチリ小学生の頃に作られてるから、記憶にある風景がいっぱい出てきて、それはそれは懐かしかった。
ブラックレインと同じく、主に大阪キタが舞台。キタは庭みたいなもんやし懐かしかった!

「大阪物語」いうて思い切ったタイトルつけてるけど、メインはキタ。やけど南港とか割と南の方も映ってて、まあ嘘ではなかったかなと。
売れない夫婦漫才師「はる美&りゅう介」(演じるのは実夫婦のジュリーこと沢田研二と田中裕子!)
この父親 隆介がまぁ〜〜なかなかの穀潰し。人生の辛いことには目を向けたくない、受け止められない、度量のない男。
だからこそ、子供を含めた周りの人間がどんどんドライになっていき、しっかりしていく。いかざるをえない。

娘の14歳 思春期真っ盛りの若菜。
同じネタを何度も何度も繰り返し、後輩芸人からはバカにされ、同級生からも「まあまあかな」と言われる。
一瞬、両親のしてる仕事は恥ずかしいことなのでは…とよぎる。お年頃なんやから当たり前やね。
心配する若菜を尻目に酔い潰れる隆介にイライラが止まらない。
おいコラ!起きさらせ!おのれの娘やないか!
……なんて、汚い言葉が頭に浮かぶ。
浮気相手と連れ子も家族に加わる意味不明な状況に切なくなり、通天閣を見上げて涙するその姿に、見てるコチラも涙。。

若菜の何気ない一言にハートブレイクした隆介、失踪。
ハガキを頼りに人を訪ね歩き、1人、大阪の街を彷徨う若菜。
隆介のことを知る様々な人に会って話を聞くうちに見えてくる、知らなかった姿。
お人好しで楽天的で、漫才師という仕事に誇りを持っていたこと。
親のそうゆう一面って、子供である自分は絶対知りえへんことやもんね。

トオルとの一連はちょっと戸惑った。
大人の階段はそんな急に登らんでも…
でも男と女の仲をほんの少しだけ理解できたんかな。
トオルはホンマに逞しいな!鬱憤をぶつける先がないだけやな。
きっとまた会えると信じてる!

ミヤコ蝶々の語りシーン、フィクションって分かってんのに泣いてもたなぁ…
若かりし千原兄弟、宮川大輔、いくよくるよ師匠、浜村淳、まさかの剣太郎セガール。笑
なかなか耳心地の良い大阪弁を聞くことができて良かったけど、若菜の喋り方にちょっと違和感なところもあり。。ちょっと惜しい!

悲劇と喜劇は紙一重。
お葬式でわろてまう話。
「アホやなぁ〜」
「…まぁな」
母と娘の会話。うちもよくやるよー!

霜月若菜のカメラ目線での語りから始まり、語りで終わる。
最初はあんなにあどけなかったのが、ロングヘアをバッサリ切ってボーイッシュなのになんかちょっと大人っぽくなってる。
楽しいことも悲しいこともアブナイことも、様々なことを感じて経験した数ヶ月、若菜はちょっと大人になった。
生き急いで大人にならんでええねんで、と思いつつ。

作品の展開としてはちょい意味不明なところもあったり、展開が甘かったり不必要気味な展開もあったけど、コテコテノスタルジーに点数献上!

エンディングテーマがまさかの尾崎豊!
ええ〜そこは大阪のアーティストちゃうんんや、、と思ったら、この曲がまたコテコテのテイストで意外と合うねん〜。

♪ 風にうたえば
何億マイルの果てしない旅だよ
辿りつく街で人の生きざま歌うよ
たった一人ぼっちで 風に歌っているよ
一粒の涙に
息づく俺の旅に
朝の光のまぶしさに驚き目覚めた人達
不確かな自分の気持ちをそれでも信じて生きている

良い曲!!!
https://youtu.be/JuewC-XbGIg
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