円柱野郎

銀河英雄伝説外伝/黄金の翼の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

田中芳樹の同名SF小説を原作にしたマンガ版を元に、ラインハルトの幼少時から「第5次イゼルローン要塞攻防戦」までを描く、劇場でも限定公開されたOVA作品。

'89年からリリースされていたOVAシリーズとは異なり、マンガ版を元にしたデザインで製作された本作は、それまでのOVAシリーズファンからすれば受け入れがたい出来映えとなってしまいました。
ラインハルトとキルヒアイスを主人公に据え、その他のストーリーを極力そぎ落とすことで話の中心がハッキリしていることは良いと思うのだけれど、キャラ造形がどれも俗っぽくなってしまったが為に本来の魅力であった“大河”的な部分が消え失せてしまっている。

誤解を恐れずに言うと、ラインハルトとキルヒアイスはまるで少女マンガの主人公のようであるし、敵であるクルムバッハはあまりにも敵キャラ然とした雰囲気で驚くばかり。
地に足ついた人間には見えず、“敵キャラ”というキャラクターでしかない。
それに自由惑星同盟側は本作では脇役扱いなので、ヤンに至っては二枚目キャラっぽくなり、言動からは葛藤も感じられなくなっていた。
とにかく全体的に演出が、人物造形が薄っぺらいのだ。

序盤から喧嘩シーンでのステレオタイプな絵の繋ぎ方など、俗っぽさが鼻につく部分が多かったが、なによりラインハルトとキルヒアイスとアンネローゼが「アハハハハハ…」と笑いながら追いかけっこをしているシーンで俺はこの作品を諦めてしまったね…。

先に作られていたOVAシリーズが良い出来映えであったこともあるし、マンガ版のデザインでも動画にしてみようという意図もあったのだろうけど、既存OVAがそれまでに積み上げていたモノをぶち壊しかねない存在なので個人的には評価できないかな。
もし俺が、この作品から「銀河英雄伝説」に触れていたら、その後にOVAシリーズや他の劇場版を観ようとは思わなかったかも…?
そんな感じです。
円柱野郎

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