鷲尾翼

哀しい気分でジョークの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

哀しい気分でジョーク(1985年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#1033

【まとめ】
* 不器用な親バカ奮闘劇
* バブリーな時代風景のままに
* 見事な題名への着地に、思う

ビートたけし演じる主人公は、子供から大人まで大人気のタレント。真面目なことが苦手で、家庭生活でも不器用に暮らしている。ある日、息子が難病で命が長くないと知った彼は、その日を機に仕事を減らし、頑張って息子との時間を作り始める。

不器用な父親の不器用な家族との時間は、かなり親バカだ。だが、その不器用な生き様が北野武という人物像と相まって、素敵な父親として映る。

本作で印象的だったのが、当時の時代背景をそのまま映しているところ。

本作の公開年は、1985年。
バブル直前の時代に加えて、人気タレントの主人公なので、当時のテレビ業界のあるあるが随所に映されている。特に終盤のシドニー旅行の編集は、バブリー。

本作を鑑賞後には、題名を深く考えてしまう。
エンディングの陽気なシーンを思うほど、題名への見事な着地だと改めて思う。『浅草キッド』が売れない下積み時代の苦労だすると、本作は売れた後の苦労を描いている。
鷲尾翼

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