LalaーMukuーMerry

駅馬車のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

駅馬車(1939年製作の映画)
4.5
名高いこの映画をまだきちんと見てなかったと思い、いまごろやっと鑑賞。
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多分だけど、子供の頃TVか何かで見たんじゃないかと思う。映画のクライマックス、大平原のなか、6頭立てで猛スピードで走る駅馬車、馬で追いかけてくるインディアン襲撃隊に対して防戦するシーンは、今見ても手に汗握る。馬から馬へ飛び移るとかCGではないから驚くばかり。インディアンが馬もろとも倒れる映像もとても迫力がある。
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でもこの映画が優れているのは、アクションだけでなく駅馬車の乗客たち(男5人、女2人)、御者と護衛(保安官)を含めた人間模様が、うまく織り込まれていることでしょう。騎兵隊中尉の妻(貴婦人)と娼婦、大酒飲みのドクター、銀行家、ばくち打ち、生真面目な酒商人、そして脱獄囚とさまざま。
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人間の価値は、肩書きや世間の目だけでは決してわからない。金に執着する金持ちの銀行家が一番いやな男、世間の冷たい目に苦しんでいるはずの大酒飲みのドクターや娼婦、ばくち打ちが実はとても親切ないい人として描かれているところもなかなか面白い。そして脱獄囚のリンゴ(=ジョン・ウェイン)もわけありの男・・・
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インディアンとのアクションだけでなく、不利でもかたき討ちにかける男の覚悟とか、その前にプロポーズ(冷静に考えると普通それはできないよ)、それに驚いたことに旅の途中の出産まであって、1939年の作品ながら今でも男女問わず楽しめる優れた作品となってました。主題曲もあまりにも有名、西部劇の金字塔といわれるのも無理はない。

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舞台は例によってモニュメント・バレーの雄大な風景のあるアリゾナ。本作は西部劇にここの風景を登場させた最初の作品でもある。監督(ジョン・フォード)はここを一目見て惚れ込んだ。今でも絶好のビューポイントはジョン・フォード ポイントと呼ばれている。
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時代は(例によって)南北戦争の後、「ウェスタン」や「3時10分、決断の時」と同じだが、ちょっと違うのは大陸横断鉄道がまだないこと。鉄道のかわりに駅馬車(定期便)というものが結構発達していたようだ。2頭~6頭立ての馬車で、都市間の郵便配達や人の輸送を行っていた。ちなみにセントルイス~サンフランシスコ間を(直線距離で約2000km)、宿場町で疲れた馬を替えながら、22日で行ったらしい。
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気になるインディアンについてはまた別の機会に・・・