カルダモン

ロレンツォのオイル/命の詩のカルダモンのレビュー・感想・評価

3.9
発症後は2年以内に死亡する難病「副腎白質ジストロフィー」に罹ってしまったロレンツォと、藁にもすがる思いで治療法を探求していくオドーネ夫妻の姿を描いた実話ベースの物語。

父と母が息子のために注ぐ全身全霊の行動力は狂気の域にまで踏み込んで、取り憑かれたように治療法の研究へ全てを捧げる姿には恐怖さえも感じる。息子の容体は悪化していく一方。それでも両親は突き進む。頼むからもうそこまでにしてくれ、などと口を挟むこともできない。両親の瞳に絶望の色は微塵もなく、運命をも捻じ曲げる不屈の意思に貫かれていた。

難病を扱った映画が苦手で、いくらジョージ・ミラー監督作といえどなかなか手が伸びなかったのだが、いわゆる御涙頂戴の軽薄な難病映画ではなく、なんなら泣いている暇などないとばかりに突き進んでいく姿に圧倒されてしまった。