Nasagi

タレンタイム〜優しい歌のNasagiのネタバレレビュー・内容・結末

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ラストのセッション、来ると予想はしていたけどその何倍も美しい二胡の旋律にやられた。
拍手なしで静かに終わっていくのがまたいい。きっとここで彼らに拍手を送るかどうかは観客に委ねられているんだとおもう。

憎しみによる分断だけじゃなくて、国の制度に組み込まれた差別とか矯正されることのない偏見とか、はたまた食卓での軽いジョークに含まれるステレオタイプまで色々あるな。

インド映画の曲をマレー人の親子の死別のシーンに当てたりとか、映像と音楽の組み合わせ方にも、壁をこえんとする監督の思いが込められてるように思った。
英語字幕しかなくて理解には苦労したけど、セリフのいたる所に言葉遊びが仕掛けられていることに気づけたので結果的によかった。

ムルーが食卓で自作の詩をよんだあとの感想で、おばあちゃんが
「I don't suppose it applies to folk what use cutlery?」
⇒(箸じゃなく)銀食器をつかう文化の人々には当てはまらないんじゃないかしら。

って言うの、たぶんfolkとforkをかけてるよねこれ笑

そして何より、発表会の時のお父さんの、
「ママ、行かせてあげよう。今はあの子たちの時間なんだ。僕たちにもそんな時があっただろう。覚えてるかい?」

が素敵すぎてやばい。まじで好きなセリフ。


メモ
車椅子の天使、talent+time(tale'n time)、キューピッドたち、イチゴ、月と『月光』、イエティ、錆びついた非常扉、誰もいない渡り廊下、なめらかに流れていく街並み、木がさわさわ、日常会話で韻を踏んでくる姉
Nasagi

Nasagi