カツマ

タレンタイム〜優しい歌のカツマのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
5.0
あの美しいシーンを思い出すたびにまだ涙が出てくる。ヤスミンアフマド監督の遺作にして最高傑作と言われる作品。見た人が心のベストワンにあげる映画だなんて大袈裟だよと思っていたのに。見終わったあと、自分はこの映画を心のベストワンだと強く思った。

マレーシアのとある高校で催される音楽コンクール『タレンタイム』への優勝を目指す学生たちの群像劇。マヘシュとムルーの恋物語は一生に一度の初恋を描き出し、ハフィズと病床の母親との親子の物語は悲しくも美しいあのラストシーンを生み出した。別れは遺されたものの背中を押して人生のバトンを次へと繋いでいく。

そう、苦しい時ほど人は輝いていく。きっとこの言葉は忘れないと思う。あのラストシーンと歌声に乗せて、これからも続く人生をただ僕たちは行く。悲しいことがあっても前を向けることをこの映画は教えてくれた。きっと人生に残り続ける物語。思い出せばまた少し目頭が熱くなって、あのラストシーンに優しい歌声を重ね合わせることだろう。
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