広島カップ

ひとり狼の広島カップのレビュー・感想・評価

ひとり狼(1968年製作の映画)
3.8
観る前はタイトルに違和感がありました。そこは普通"一匹狼"でしょと思うのですが、渡世人の"人"としての描写が結構あるのであえて獣的な感じがする"一匹"を避けたのでしょうか。

飯は遠慮なく食べてもよいがお茶碗二杯までにすること、食べ終えた魚の骨は懐紙に包んで自分の懐に入れること、布団は柏布団で寝ること、宿の賭場で勝ちっぱなしで立つのは良くない等々...渡世人の一宿一飯のマナーを丁寧に見せる。

「男気とか心意気はてめえの覚悟だ。売り物でも看板でもねえ」
「親分もなきゃ子分もねえ。寝ぐらもなきゃ身寄りもねぇ」
「渡世人のオキテがたった一つの頼りよ。人情なんて余計な物を背負ってちゃ生きていけねえ」
渡世人"人斬り伊三蔵"(市川雷蔵)の口から語られるそのままの生き方。

股旅物はそれ程多くは観てはいないのですが、きちんと仁義を切ったり先程のマナーがあったりした上での孤独でハードボイルドなその姿が格好良かった。
広島カップ

広島カップ