ひとり狼の作品情報・感想・評価

「ひとり狼」に投稿された感想・評価

市川雷蔵。

大映では、長谷川一夫の跡、勝新太郎とともに「カツライス」と言われ、人気を二分した。
勝とは同い年ですが、わずか37歳で亡くなる。

この作品、股旅もので
「人斬り伊三蔵」と言われる侠客。

孫八と、あるヤクザの一家で一緒になり、孫八に引っ付いてきた駆け出しの半次に、ヤクザの本質を説く。

ある出入りの助っ人に、因縁深い町に訪れる。

そこで、怪我した子供を手当して。
迎えに来た母親を見て、愕然とする。

伊三蔵が、どうして侠客になったのかが・・。

市川雷蔵のヤクザは、強さを感じるが、同時に哀愁も感じます。

強さでは、用心棒を一撃で切るところは、凄い迫力です。

弱さは、名乗ることの許されない息子に話しかけるシーンの悲哀に満ちた表情。

とにかく、市川雷蔵の魅力満載の作品です。

あと、孫八役の長門勇もイイ仕事してます。
典型的な身分の差が障壁となるメロドラマ。
こんなに必死で人間的な市川雷蔵は初めて見た。
前半は見せ場なく若干退屈だが、ラストの雪の中、初めて会う息子の前で見せる立ち回りは号泣必至‼
大映にしては女優もカワイイし小池朝雄の憎たらしさも最高であった。
青二歳

青二歳の感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

大映レコード…あぁ大映末期を感じさせるオープニング。雷蔵もやや浮腫み気味で病み上がりかと思うと切ない…でも雷蔵の殺陣はやっぱり締まりますねえ。
あと雷蔵の食事シーンがあってなんだか貴重。緊張してるっぽいやや不自然な食べ方が妙にかわいい(結局雷蔵なら何でも萌えるんか自分)。

長門勇が語る市川雷蔵の渡世人の物語。どこの貸元(ヤクザの上の地位)からも助っ人に頼まれるとは凄腕ですね。実は元々堅気ということで過去のシーンがあるのだけど、その純真さと今の落差が印象的。“関の弥太っぺ”の錦ちゃんのような中々の演じ分けです。お坊っちゃまも演じられる品の良さがありますから、渡世人とは振り幅の大きい健気な奉公人もしっくりきます。その前身からも、この無頼の徒は“眠狂四郎”のような超然とした人物ではなく、自棄っぱちな哀しみを抱えていることが理解されます。その点で分かりやすいシンプルなキャラクターなのですが、俠気ではなく金のために助っ人業をこなす冷淡さがこれまたカッコよいので、単純化するには惜しいたいへん魅力的な人物に仕上がっています。

渡世人もの特に股旅ものでたまに見かける口上の練習。いつ誰がやってもかわいい練習風景(でもこれをトチると悪くすると袋叩き。まず泊めてもらえない。だからとても大切らしい)だけど、長門勇がやるとなおかわいい。またこの長門勇の軽やかさが後半のシリアスに至って効いてくるんだ。
シンプルながら池広と雷蔵の魅力が詰まっている。
鬼頭を交差して切り捨てるシーンの呼吸の素晴らしさ!
語り部の長門勇もグッと来る。
シンプルな渡世ものも、池広監督と雷蔵様にかかれば、哀愁たっぷり、様式美溢れるハードボイルドになる
Denkishino

Denkishinoの感想・評価

4.2
純粋にカッコいい雷蔵。股旅ものでは秀作だと思います。 ストーリーはそれほど深いものとは言えませんが、雷蔵の役柄と、対極にある長門勇の役柄が、とても映画に深みを与えます。ただ、台詞回しが「二本差しのすることかい!」「瞳に映る卒塔婆が増える」など時代劇慣れしていないと解りづらい面がありそうです。歌舞伎同様、そういう言葉は観る側がわかってて当然。ということですね。殺陣もカッコいい。流石、眠狂四郎シリーズも手掛ける監督。アップの多い演出に迫力を感じます。
市川雷蔵いいなぁ。
言うほど雷蔵映画を観たわけではないが、今までは雷蔵の「凄み」に感嘆していたが、この作品では「凄み」だけではなく、「柔らかさ」も垣間見えた。特筆すべき映画だと思う。
脚本も良く、前半は侠客としての「人斬り伊三蔵」を前面に押し出し、後半では伊三蔵がなぜ道を外れたかの説明と人間の弱さ醜さを描き切る。
殺陣もいけてる。
ただ、凝りに凝った脚本のために、セリフに書き手の思い入れが強すぎて意味深なのだろうか、飛躍しすぎていて意味が良く分からない。論理が飛んでしまっている箇所がとくに後半見られた。
老人「人情がなければこの世は闇よ」
雷蔵「闇の中を歩いてみなきゃ分からねぇ」
こんなようなセリフがあったけど、描き手の頭では繋がっているのだろうけど、こちらとしてはよく分からない。もう少し丁寧に説明してほしいが……。
こんなこというのは、野暮ってもんだろうか。
法一

法一の感想・評価

4.1
 池広一夫監督作品なんて両手で数えられるくらいしか見てないし、雷蔵出演作も2割程度しか見ていないのでテキトーぬかせば、お互いにとっての最高傑作なのではないかしら。なんといっても終盤の市川雷蔵が口にする台詞の、あまりの厳しさ。そこまでの数十分が違う意味、別種の重みと共に胸に迫ってくる。良く出来た脚本だし原作なのだろうと思う。

 しかしそれ以上に市川雷蔵の存在感がすごい。鬼気迫るという表現がぴったりじゃないですかこれは。回想シーンのなかではまだ無垢な若者として登場して驚かされるのだが、それが一夜にして、いや一瞬にして「人斬り伊三」に文字通り変貌することになる。そのシーンの厳しさにも戦慄する。

 それにしてもやくざという生き様をかくも哀しく描きあげて、84分とは! 内容的に対になるような『瞼の母』も83分という短い尺だったことを思い出す。当時の日本映画は本当にすごい。
これぞヤクザという一匹オオカミの渡世人・伊三蔵(市川雷蔵)が、旅の道中で様々な事件に巻き込まれるが、立ち寄った故郷でかつての身分違いの恋人(小川真由美)に再会するが…というハード・ボイルド。

渡世の義理だの人情だの侠気だの一宿一飯の恩義だのが絡み合い、その板挟みにあって主人公が苦悩する、なんていうよくある複雑なお話ではなく、ストーリーは至ってシンプル。だからこそ、渡世人の厳しさや芯の強さがクリアに描かれている。その結果としての雷蔵がもうカッコイイのなんの。草鞋を脱いだ一家での食事就寝の作法や渡世人の心構えなど、従来の作品ではちゃんと教えてくれなかったルールもきっちり描かれているので、股旅任侠モノのテキストとしても最適。
刀の扱い方勉強になりました。
ボロボロの雷蔵が長いシーン殺陣をやってるのは新鮮。
パッケージのシーンもなかなかいいな。
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