ひとり狼の作品情報・感想・評価

「ひとり狼」に投稿された感想・評価

べらし

べらしの感想・評価

3.6
結構な佳作だと思うんだけど、雪や雨のエフェクトのタイミングが変ですね
あんな心情描写ッ!って感じで来なくていいよ
Jaya

Jayaの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

第三者の回想から入るという時代劇にしては珍しい構成。雷蔵の作品は雷蔵一人光っているようなパターンも多いように感じてしまいますが、この作品では脇役もなかなかに際立っていました。

様式美とはいえ、余りにも芝居がかった渡世人ぶりは多少辟易するところはありますが、それ以外の点は素晴らしいものがありました。
伊三蔵が余りにも変貌しすぎじゃないかとか、多少気にかかるところもありましたが、流れとしては些細なことでした。

やはりクライマックスは最後の殺陣。「これが人間の屑のすることだぞ」と斬りかかる伊三蔵はなかなかに痺れました。殺陣自体は正直今一つなのですが、多勢に無勢という状況に逆にリアリティーを出していたと思います。子に対してではなく、自らの生き方に対しての負い目がもっと表されていれば、先の台詞にさらにグッときただろうなとは思いましたが。

股旅物でありながらニヒリズム要素を上手く入れたなかなかの名作だと思いました。
くぅー

くぅーの感想・評価

4.1
“親分もなけりゃ、子分もねえ。ねぐらもなけりゃ、身寄りもねえんだ。渡世の掟がたった一つの頼りよ。”
今夜もまた新しい卒塔婆の夢を見るのか。”

久しぶりに時代劇を見たくなり、ずっと気になっていたタイトル作品をやっと鑑賞。

人斬りの異名を取る凄腕のやくざを描く、いわゆる股旅モノ・・・前半はその非情の凄さを見せ付ける。

そして、後半は男の隠された過去を明らかにしつつ、訳ありの地での絶体絶命のラストへと導く。

主演は市川雷蔵で、この時点で勝負ありましたね・・・いつにも増してハマり役。

まぁ、クライマックスの雪の演出はいかにも感はあるが・・・見事にキマってる余韻が全て。
雷蔵マラソンも次第に難所にさしかかりつつあり、雷蔵ファンにならなければ絶対観ることのなかった苦手ジャンルの映画が行く手を阻む。股旅物もそのひとつ。股旅物とは、要するに流れ者ヤクザ時代劇である。

この映画はハードボイルドな股旅物というか、渡世人もの。伝説として語られるカリスマやくざが雷蔵さんの役どころ。雷蔵この時35歳、役柄上濃いめのメイクも荒んでいて、もっと若い頃の雷蔵に比べれば老いの影を感じ、見る方の気持ちも重くなる。ドスの効いた声の出し方などとても35歳とは思えない。どこまでもハードボイルドなのは様になってるとしても、あのキメキメ過ぎる決めゼリフはいささか過剰で苦笑してしまった。

小川真由美が登場してからは少し趣が変わって、『嵐が丘』みたい、と思ったのは私だけ?小川真由美さん、雷蔵映画の共演女優としては異質というか、市川雷蔵の相手役という以上の存在感があって、現代的な大人っぽさやフランスの女優さんみたいな自立した雰囲気が時代劇っぽくなくていい。

ヤクザ映画が地上波TVで放映できなくなり、ヤクザそのものをTVで取り上げることさえ難しくなった今の感覚からすると、このようにヤクザをカッコいいヒーローとして描くこと自体に違和感がある。今の若い人たちは、清水の次郎長や国定忠治の名前すら知らないのではないか。大映が次第に傾きつつある中、東映ヤクザ映画全盛だった時代の時流に乗ろうと作られた若親分シリーズも、今思うと雷蔵さんはこのシリーズ本当にやりたかったのだろうか?ともの悲しいものがある。一番見たくない雷蔵さんだ。

ヤクザではないが、眠狂四郎も今の感覚や倫理観からするといろいろとアウトな部分があり、時代を超えて生き続けるヒーロー像にはなりにくいと思うので、やはり雷蔵さんは濡れ髪シリーズとか文芸ものとか軽めの時代劇などがもっと広く知られて欲しいな、などと俄ファンが生意気勝手を言って叱られそう。でも、考えたら濡れ髪シリーズも『濡れ髪剣法』以外は全部渡世人の役だった!(『濡れ髪剣法』で殿が世話になる口入れ屋は、ヤクザとまではいかないのではなかろうか。)

28
観る前はタイトルに違和感がありました。そこは普通"一匹狼"でしょと思うのですが、渡世人の"人"としての描写が結構あるのであえて獣的な感じがする"一匹"を避けたのでしょうか。

飯は遠慮なく食べてもよいがお茶碗二杯までにすること、食べ終えた魚の骨は懐紙に包んで自分の懐に入れること、布団は柏布団で寝ること、宿の賭場で勝ちっぱなしで立つのは良くない等々...渡世人の一宿一飯のマナーを丁寧に見せる。

「男気とか心意気はてめえの覚悟だ。売り物でも看板でもねえ」
「親分もなきゃ子分もねえ。寝ぐらもなきゃ身寄りもねぇ」
「渡世人のオキテがたった一つの頼りよ。人情なんて余計な物を背負ってちゃ生きていけねえ」
渡世人"人斬り伊三蔵"(市川雷蔵)の口から語られるそのままの生き方。

股旅物はそれ程多くは観てはいないのですが、きちんと仁義を切ったり先程のマナーがあったりした上での孤独でハードボイルドなその姿が格好良かった。
股旅物だが、影を背負って生きる様は眠狂四郎や剣三部作に通じるものがあった。心冷たくも仁義ある男には、やはり市川雷蔵がもってこいだと思った。
半兵衛

半兵衛の感想・評価

4.0
聞いた話によると市川雷蔵は中村錦之助(萬屋錦之介)をライバル視していたらしく、錦之助が主演した「関の弥太っぺ」や「沓掛時次郎・遊侠一匹」のような股旅ものの傑作を撮りたいと考えていたらしい。
だとすると大映の経営が傾き、雷蔵自身死の前年であるこの時期に「ひとり狼」を作れたのは奇跡であり、役者としての最後のチャンスを掴めたとしか言いようがない。人間性を拒絶し、ひたすら渡世人として生きるがその内には苦悩を秘めた男、「炎上」にはじまり「斬る」三部作、「眠狂四郎」シリーズ、「陸軍中野学校」シリーズでそうしたキャラクターを演じた市川雷蔵の集大成といえる演技が堪能できる。
そうした市川の執念に応えるように、今までの陽気な旅人という渡世人のイメージを捨て、リアルな渡世人の世界を描いた演出や脚本も素晴らしい。市川演じる伊三次の生きざまを見届ける長門勇の渋い演技も映画の魅力を増している
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.5
‪「ひとり狼」‬

‪冒頭、男の歩く後姿。

吹雪の中の闘い、用心棒と二人のヤクザ。

神業、一太刀、絶望、槍。今、誰も近寄らせず同じ場所に三日と居なかった一人の旅人が出会す様々な輩、女…

本作は村上元三の原作を直居欽哉が脚色し、

池広一夫が監督した市川雷蔵主演による時代劇で、

この度BDにて再鑑賞したが面白い。

主演の市川雷蔵が渡世人を完璧に演じた一本で、

恥ずかしながらまだ未見の沓掛時次郎と中山七里を合わせ三部作とされてる様だ。

いや〜こうまで筋金入りの旅人映画を見たことがない…

強烈そのものでタイトル通り正にひとり狼だ。黒影を基調に雪降るラストは本当美しい映像美だ。

渡世人の食事の仕方から寝方までが描写され、

出だしの雪の中での過酷な幕開けは素晴らしい物語の暗示を表してる。

またラストの斬り合う姿を子供に…(ネタバレになるから言えない)そのままラストも暗示させる帰結。

正に暗示されまくった作品だ。

余談だが若くして病気で倒れた雷蔵の最後の撮影でセットがお通夜でロケが墓参りのシーンで亡くなったって皮肉だなぁと…なんか哀しいな。

こういった股旅ものは大好きだ。

物語はやくざ修行の厳しさに人の情を忘れてしまった冷徹さを持つ筋金入りの旅人の人生を描いた作品で、

やくざの回想形式で話が展開していく…

やはり雷蔵が最高なんよ。

それに主題歌のウィリー沖山の歌も冒頭からかっこよすぎる…

刺客に対しての殺気が半端なく、

沈黙による追い詰め方が凄い。

ニヒルな股旅映画もこんな迫力があれば十分にヒットするだろう。

市川雷蔵のやくざっぷりは最高だ。‬ ‪雷蔵が股旅映画の新たな傑作を作ったといっても良いほどに何から何まで完璧な股旅作品で素晴らしい…是非お勧めだ‬。
人斬りと呼ばれる股旅がその生き方を選んだ理由とは?
引いた映像からアップ、ハラハラする場面から穏やかな場面と、メリハリがすごくきいていて、朝一の鑑賞なのにまるで眠くならない。
雷蔵は股旅になる前と後、自分と縁のある少年と出会った場面で、心情の違いをうまく演じ分けていると思った。
映像やキャラクターが、独特の美学に貫かれた一つの世界を作り上げているように見えて、とても良かった。キザなセリフも世界に合っている。
監督のトークによるとラストは、本当はシェーンみたいにしたかったそう。

「市川雷蔵祭」
伝説の語り手、父子の継承、情を捨てきれぬ弱くも強い男、雷蔵のヒーロー映画としては完璧。
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