学生映画や自主映画に対してはどうしても、
「どれだけやれている?」
的なつまらない物の見方をしてしまい、商業映画との間に見えないラインを無意識に引いてしまう瞬間がある。
「アマチュア」の烙印なんて映画を観る純粋な行為の前には何の効力も無いのに、映画が好きであればあるほど、皮肉にも肥えた目がその烙印を意識させてしまう。
だけど、この映画は少しだけ違った。
ラインを踏み越えてでも「好き」と言うべき愛しい瞬間を、たくさん見つけられる。
さらに最後には、目まぐるしい出会いと別れの連続の中で生きる全ての人の深層に引っかかる、寂しさと優しさに満ち満ちたラストが待っている。
それは映画を観ている間の、現実からちょっとだけ離れた暗闇の中で、有り得たかもしれない日々へと観る人を振り返らせる。
希望にも諦念にも聞こえる最後の台詞と共に映画が終わると、あの日別れた人たちの顔を脳裏に浮かべながら「今日はこの後何しようかな」と自分の日々に戻っていく……その感覚が堪らなかった。
この映画を観ることにした理由が、
「自分と同じ大学を出た先輩の卒業制作だから」であったり、
「その先輩の書いた本にこの映画の制作について詳細に書かれていたから」であったり、
「この映画を観てもいないのにこの先輩について勉強しているつもりになるのは最低だから」であったりしても、
観終えた今となっては全部どうでもよくて、純粋に「観て良かった」と思える、大好きな映画になった。