けんたろう

甘い生活のけんたろうのレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
-
パーティの表と裏。


賑やかで喧しい愉快な動と、一転、暗闇のなか耳元に直接囁かれるような静のギャップが凄い。それらは決して打ち消し合うのではなく、寧ろ互いに強め合うているため、これが一本の映画とはとても思えぬほどのインパクトを残す。

煩雑、猥雑、渾沌、乱雑を極めた優雅なコメディ。
真面目に生きるのを遂に辞めた主人公は、俗なる世間の狂い上がるなかで、美女たちのまを彼方此方にゆきまわる。一見女を垂らして充実なる日々を送っているよう見えるが、彼の生き方は畢竟孤独である。それも表面だけは華やかなのだから、尚更にタチの悪い孤独である。
誰とも入魂の仲にはなれず孤立極めた男に、なんだかひどく共感をした。
もしかすると、苦い道にこそ、幸せとやらはあるのかもしれない。