よしまる

甘い生活のよしまるのレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
3.8
 絶対観たことあるはずだと思ってたら初見だった、というのはフィル友さんならわかっていただけると思われるよくある話。
 いや観たはずなんだけどな〜、普通はところどころ覚えてるものなのに、全然出てこない笑
 それにこの話どうでもいい💧

 さてイタリアのリッチな方々の派手なんだか退屈なんだかよくわからない日常のアレコレを描いた物語で、フェリーニはこんなのばっかり。で、そこがとにかく楽しい。

 「退屈が若さを蝕む」って素敵なセリフが出てくる。みんなお金も時間もあるから好きなこと出来てるんだけれど、誰もがどこか心に空虚を抱えていて、とても幸せそうには見えない。たぶん正論だが正解ではない。

 急かされるように毎日を追われながら過ごしている一般人のボクにはてんでわからないことだらけで、芸能人が自殺したり金持ちがつまらない犯罪に手を染めたりすることに共感できないことに似ている。

 フリーのジャーナリストで、エンマという女(イヴォンヌ・フルノー)を囲っているイケイケマストロヤンニ。これだけでどんな映画か想像がつくだろうけれど、そのまんま笑

 クラブで会った元カノのマダレーナ(アヌーク・エーメ)をお持ち帰りしたと思ったら翌日アメリカから来た女優シルヴィア(アニタ・エクバーグ)に一目惚れ。現れる女に次々と目移りしながらも、幾度となく開催されるパーティにはとにかく参加。
 ビジネスも兼ねているのだろうけれど、隙あらば女の子と仲良くしようという魂胆が見え見えで、それでいて「疲れた」「つまんない」と文句ばっかり言う堕落した甘い生活。嫌なら行くなよと突っ込んでしまう。

 他人の人生を側から見るのは楽しいとは言え、それが魅力的かどうかは人それぞれの見方により変わる。どうでもいいと言えば究極にどうでもいい笑

 この映画を女性から観たらどうなんだろう。カッコいいオジサンが粋なセリフで楽しませてくれるのを観てると心地よいものなのか。
 男性目線としては、そりゃあんなに素敵な女性が入れ替わり立ち替わり現れてチュッチュできればそんな夢みたいな話はないのかもしれないけれど、現実そんなめんどくさいことに付き合ってられないし、相当なバイタリティがないと精神が持たない。
 なんてことを言っても、所詮負け惜しみにしかならない笑

 有名なトレヴィの泉のシーンまで行くとさすがに出来すぎで感情移入もなにもなく、ただ美しい男女の営みを口開けて観るしかないのだけれど。
 そこに至るまでの、猫と戯れるアニタ・エクバーグの神々しい魅力にひれ伏してしまうボクはやっぱり男だなと、気持ちの良い絶望感を味わった。
 夜中に子猫拾って「この子にミルクを買ってきて」なんて言われたら…、まぁしょうがないよなぁ笑