ゆう

モーターサイクル・ダイアリーズのゆうのレビュー・感想・評価

3.5
映画通の人にお勧めいただいて鑑賞。

23歳の若きチェ・ゲバラと、その友人ベルナルドとの二人旅。ただの医学生で喘息もちだったゲバラは、この旅を通じてさまざまな境遇の人々に出会う。
そして、この体験がもとで将来の方向性が決まったのではないか…そんな物語。

バイク一台とそれに乗るだけの荷物。
アルゼンチンのブエノスアイレスから、ベネズエラの北端カラカスを目指す。
お金も泊まる場所もない、無計画な旅だったが、その旅で出会った人々の現状を目の当たりにした二人は、それぞれ感じることがあり…。

キューバの革命指導者チェ・ゲバラの若き日とは、どれほど情熱に溢れ、熱い想いを常々抱き、普通の人よりどれだけの怒りや悲しみを胸に秘めていたのだろうか。
きっと、同時代に生きて対面していたら、私のことなんて歯牙にも掛けないくらい次元の違う存在だったのでは? という彼への勝手なイメージを、見事に崩してくれた作品。
彼はどこにでもいる、体も強くなく、彼女に夢中で、友人とケンカもする家族思いのちょっと裕福な家の普通の青年。
しかし、優しい分人への共感力や、自分の非力さへの無力感などは、もしかしたら人一倍あったのかもしれない。
もともと医学生なので、人を助けることに関しては強い思いもあったのかもしれない。
でも、その道からの転身のきっかけが、この旅にあったのかと思うと、グッとくる。

狭い世界から広い視野を持つようになるきっかけは、人それぞれ。逆もまた然りだけど、その瞬間を目撃できた気がして、深い余韻に包まれた。

バイクでの道中、ゲバラの後ろで手を広げるアルベルトのように、私もバイクに乗ってみたくなりました。
観てよかった。ゲバラのほかの映画も気になっていたので、機会を作って観てみようと思いました。
ゆう

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