ゆん

カメリアのゆんのレビュー・感想・評価

カメリア(2011年製作の映画)
3.5
チャン・ジュナン監督観たさに借りた、三部構成のオムニバス作品だが、しょっぱなのウィシット・サーサナティアン監督「アイアン・プッシー」が素晴らしく、二本目の行定勲監督「kamome」のくだらなさに萎えた。

「kamome」は日本映画の悪しき文化が顕著に出ている。
人の死とか人種の壁という問題を扱って、手軽に感動させてやろうという浅ましい手法に興ざめする。
要はビッグネームの主役二人撮れればそれで良いというスタンスなんだよな、撮り方も、人物造形も極めてずさん。せっかく素晴らしい役者を二人も迎えているのに、全く良さを出そうとしない。
心の優しい吉高由里子に対して、わがままで態度の悪い韓国人女優が対照的に写されるのだが、美しい日本人女性と醜い韓国人女性という図式に見えて問題。だがこれも特に意味はなく無意識の所業なのだろうなと脱力させられた。

「アイアン・プッシー」はまるで吉高由里子の真逆をいく、女装した中年男性が主人公。
ドラァグクイーンのような大袈裟なメイクとファッションの主人公が女スパイとあり、ポップなコメディかと思わせるが全くそんなことはない。女スパイに殺人指令がおりたのは、恋に落ちた男性だったというラブロマンスがミュージカルを交えて至極真面目に描かれる。
この話は「なぜ?」と思わずにはいられない不可解な要素で構成されている。
なぜ、女装前の主人公はタイ人なのに寿司職人で、いつもタコを捌いているのか。
なぜ、話の途中でいきなりタイムスリップするのか。
そもそもなぜ、主人公が女装した男性なのか...。
きっと、実は全てに意味があるのだろう。いやそもそも、物語に意味や教訓なんて必要だろうか。この作品は私の見たいものを見せてくれた。それで十分ではないか。
ゆん

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