mingo

最後の審判のmingoのレビュー・感想・評価

最後の審判(1965年製作の映画)
4.0
ファーストカットグラサン達也がこちらを見ている。仲代達也の「笑い」が木霊する邦画サスペンスの傑作。堀川弘通にサスペンス撮らせたらそうそう右に出る者は居ない。冒頭、眼科医淡島千景のところに押しかけて「我慢できないんだ…」という台詞をもらす場面で声のトーンと間が田中邦衛っぽいなぁと思っていたらまさかの次のビリヤード場のシーンで邦衛登場に笑った。行き来する車のライトで照らされたベッドでの2人、窓から後光のようにライティングされた淡島など、ノワールらしい陰影の効いた撮影が素晴らしい。喫茶店リマで流れるジャズまで武満徹の作曲らしく撤退した仕事ぶりに脱帽。クリーニングで落とせない内ファー付きの黒コートからの硝煙反応、伴淳曰く「蛇足」だった切符自慢など呆気ないボロよりは女の裏切りほど怖いものは無い。オンナの洞察力凄まじい吉村実子と仲代を唆す三島雅夫の「豚と軍艦」役者の仕事ぶりも最高。
mingo

mingo