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ロード・オブ・ザ・リングのPikKaのレビュー・感想・評価

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)
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J.R.R.トールキン原作の壮大な文学作品『指輪物語』を、自身も幼少時から作品の熱狂的なファンだというピーター・ジャクソンが完全映画化。

強大な魔力を持つ指輪を巡って、
世界を支配するために手に入れようとする闇の勢力と、その指輪を破壊するために旅立つ者たちとの戦いを描いた超大作。

指輪に潜む冥王サウロンの邪悪な意思が
持ち主や周りの者の心を捉え、誘惑し、疑心暗鬼に陥らせ仲間を分裂させる。
サウロンやサルマン率いる闇の勢力との戦いだけではなく、それを封じるという行いのための使命を帯びた者たちの中にも魔の手を伸ばす指輪の力。

誘惑に打ち勝てない者たちの弱さや愚かさや、それに必死で抗い踏みとどまった者。
相手は闇の勢力だけではなく、
各々の心の中にある闇や弱さとの戦いも
じっくり描かれているので見応えがある。

フロドが不安を吐露した時に
『起きてしまったことをあれこれ嘆いても仕方がない。
肝心なのは、これからどう行動するか。』
というようなガンダルフ(イアン・マッケラン)のセリフが心に染みる。

誘惑、葛藤、不安、重圧…
フィクションの架空の世界の話ではあるけれど、見方を変えれば現実の世界に生きる人間にも当てはまるメッセージ性も高く、それをキャラクターを通してドラマチックにじっくり描かれているので見応えのある3部作。

CGや既存の道具だけに頼りすぎていないところも好き。
原作でフロドたちホビット族が住むホビット庄の雰囲気に合う場所としてニュージーランドの自然豊かな農村地方を選び、実際に個性的な家を作り、畑を耕し1年前から作物を植える。
出てくる食器なども物語の時代や背景にあわせてオリジナルで作り出したもの。
昔から代々この自然豊かな環境と調和しながら独自の文化を根付かせ平和に生活しているかのような陽気であたたかな雰囲気があるし、その他の建物なども本作のために実際に作り上げられたりしているものもあって圧倒される。
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