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東京物語の10000lyfhのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
家族について。第二次大戦後、復興期の日本社会が背景だが、古今東西を通じて普遍的なテーマに真正面から挑み美しく描いた、世界映画史上でもありそうでなかなかない作品。血縁関係の無い者と最も強い絆を持つという意外性と、続いてゆく日常に身を委ねるという日本的な現実受容センティメンタリズムが、本作をワンアンドオンリーにしている。ストーリーは単純だし、テンポもスローめながら、漫才のような会話や言動がスパイスとなり、全く飽きない。映像面で、画面というフレーム内にさらに、柱や襖・障子を使って何重にも「フレーム」を重ねる、日本家屋の特徴を生かした空間の奥行きを感じさせる画面構成が多く、日本人である私にはノスタルジックに心地良い(外国人にはエキゾティックな魅力となる要素だろうか)。洗濯物や鉄道施設を捉えた数秒のエスタブリッシュショットも味わい深い。対話シーンを人物の正面アングルでカット割りし、全員が独特の似た口調で喋る、小津特有のディレクションで、原節子が輝いていると思う
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